今中慎二が分析する中日打線が「怖くない」理由 中田翔ら積極補強のプラス効果を解説 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【ピッチャーが嫌がるバッターの条件は?】

――ソフトバンクからは上林誠知選手も獲得しました。

今中 獲得の理由のひとつは、38歳の大島洋平に衰えが見え始めたことにあると思います。守備では捕殺ができないので、ランナーをぐるぐる回されてしまう。上林は2022年に断裂したアキレス腱が懸念点ですが、万全の状態であればシーズン開幕から起用することもあるんじゃないかと。もちろん、大島は必要な選手ですから、外野の起用法は注目です。

 外野は固定せず、岡林や細川、鵜飼航丞やブライト健太も含めて全員を競争させるほうがいいと思います。春季キャンプもその方向で進むんじゃないかと。シーズンに向けてある程度は青写真を描いていると思いますが、キャンプで変わる可能性は十分にあります。

――成長著しい岡林勇希選手はどう見ていますか?

今中 確かにヒットは打てていますが、個性はあまりないですね。大島しかり、当て逃げするようなバッターが今の中日には多い。岡林は長打がないわりにフォアボールも多くないですが、龍空などもそうですし、そういうバッターがスタメンに3人もいたら投げるほうはラクですよ。塁に出ても、足を使うわけでもないですし。

――確かに、昨年のチーム盗塁数36はリーグワーストでしたね。

今中 岡林は足が速いはずなのに、あまり走らない(12盗塁)ので全然怖さがない。また、打率(.279)は残せていますが、得点圏打率(.284)はもっと上げてほしいです。もっと「ピッチャーが嫌がるバッター」になっていかないといけませんね。

――ピッチャーが嫌がるバッターとは?

今中 引っ張るバッティングをされるとピッチャーは嫌ですね。特にバンテリンドームでは、逆方向にホームランを打つのが難しい。でも、引っ張ると長打になる可能性が高くなります。それができるようになると、投手が「長打もあるぞ。打たれちゃいけない」と思うようになり、フォアボールも取れるようになっていくんです。

 その点、岡林はセンターから逆方向ばかりに打っている。追い込まれたカウントならいいですが、初球からそうですから。逆方向に打つ美学でもあるのかな、というぐらい逆方向へ打っている印象ですね。例えば阪神の近本光司などは引っ張ることも多く、パンチ力がありますよね。阪神では中野拓夢も引っ張る打球が強いですし、やはりそうじゃないとピッチャーにプレッシャーをかけられないんです。

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