阪神・村上頌樹「実力が足りないと、自分に言い聞かせていた」不遇の年をどう乗り越えたのか 2024年の野望は「最低でも貯金は8つ」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

── 子どもの頃から大好きだったタテジマのユニフォームを着て、新人王とMVPを受賞し、チームは38年ぶりの日本一。まさに夢のような1年が過ぎ、2024年シーズンが始まります。これだけうまくいくと、翌年のシーズンが怖いという気持ちはありますか。

村上 いや、怖いというより、もっとよくなることしか考えていないです。

── 2024年は2年連続の最優秀防御率タイトルを目標に挙げていますが、2023年の1.75よりもいい数字も可能だと?

村上 はい。まだまだ防げる失点があったので、もっと数字もよくできると思っています。

── 高卒、大卒の違いはありますが、オリックスからドジャースに移籍する山本由伸投手は同級生で、村上投手と同じく決して上背があるわけではありません。

村上 山本投手は日本を代表する投手ですからね。ただ、目標があると追いかけやすいというのはあります。昨年も、たとえば勝利数では大竹(耕太郎)さんが先をいっていて、防御率でも(伊藤)将司さんや才木(浩人)がいたりして追いかけやすかったのはありました。そういうことで言えば、今年は貯金ですね。2023年は4つしかつくれなくて、大竹さんは10あった。最低でも2023年の倍の8つくらいはつくれるようにしたいです。

── 2年連続の防御率のタイトルと貯金倍増......1年前を思えば、考えられない目標設定です。

村上 そのためには、まずは開幕からローテーションに入ること。強力投手陣のなかでしっかりポジションをつかんでいきたいです。


村上頌樹(むらかみ・しょうき)/1998年6月25日、兵庫県生まれ。小学1年生で野球を始め、中学時代は硬式のクラブチーム「アイランドホークス」に所属。智辯学園高に進学し、1年夏からベンチ入り。1年夏、3年春夏と甲子園出場を果たし、3年春のセンバツでは全5試合をひとりで投げ抜き優勝。高校卒業後は東洋大に進み、1年春からリーグ戦に登板し、3年春は6勝無敗、防御率0.77の成績を残し優勝に貢献した。20年のドラフトで阪神から5位指名を受け入団。プロ3年目の23年、10勝6敗、防御率1.75の好成績を挙げ、18年ぶりのリーグ制覇、38年ぶりの日本一に貢献。新人王とMVPをダブルで受賞した

著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る