阪神・村上頌樹「実力が足りないと、自分に言い聞かせていた」不遇の年をどう乗り越えたのか 2024年の野望は「最低でも貯金は8つ」 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

【昔から投げることが大好き】

 村上に取材させてもらうのは、智辯学園3年の5月以来のことだった。その1カ月前にセンバツ大会で全5試合、47イニングをひとりで投げ抜き(自責点2)、全国制覇を成し遂げていた。これだけの結果を残したにも関わらず、プロの評価は決して高いものではなかった。大学進学が既定路線だったとはいえ、もし村上の身長が180センチを超え、150キロのスピードボールがあれば、周囲の反応も違っていただろう。

── 身長があと10センチ、もしくは5センチあればどうだったかと思うことはあると、高校時代に語っていました。

村上 たしかに大きいほうが有利ということはありますからね。でも、大きい人ができないことを小さい人はできたり、それぞれのよさがあると思います。自分は小さかったので、上背のない選手が活躍しているのを見ると自分もできると思えましたし、僕のプレーしている姿を見て励みになってくれる人がいたらうれしいですね。180センチなくても、プロの一軍で抑えられるんだと思ってほしい。

── 現在公表の身長は175センチで、高校3年の取材時は173センチでした。

村上 健康診断の時に計ったら175センチになっていた。「よっしゃ!」って。これは素直にうれしかったです。

── 2023年は1年間好調を維持し、最後まで乗りきった体の強さも村上投手の真骨頂です。安定して投げ続けたピッチングを見ながら、高校3年春のセンバツ大会で669球をひとりで投げ抜いた姿を思い出しました。

村上 小学校の頃からダブルヘッダーの連投なんて当たり前で、その後もずっと投げ続けてきました。だから2023年も、投げられなくなるまで疲れがたまることはなかったです。

── 今は投げることにナーバスな時代ですが、村上投手は投げることで今の形ができあがった印象が強いです。

村上 最初に教えてもらった投げ方がよかったんだと思います。ヒジを上げて、しっかり腕を振るという基本を教えてもらった。小学校の監督さんには感謝ですし、今でもですけど、僕は投げるのが大好きなんです。

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