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阪神・村上頌樹「実力が足りないと、自分に言い聞かせていた」不遇の年をどう乗り越えたのか 2024年の野望は「最低でも貯金は8つ」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

阪神・村上頌樹インタビュー(後編)

前編:クビ覚悟で挑んだプロ3年目に何が起きていたのかはこちら>>

 ストレートの質が格段に上がったことに加え、村上頌樹にとって何より大きかったのが岡田彰布監督を筆頭に首脳陣が代わったことだ。プロ野球選手にとっての「いい監督」とは自分を使ってくれる監督であり、新戦力というのは得てして首脳陣交代のタイミングで現れるものだ。

契約更改で球団史上最高となる875%アップの推定6700万円でサインした阪神・村上頌樹photo by Sportiva契約更改で球団史上最高となる875%アップの推定6700万円でサインした阪神・村上頌樹photo by Sportivaこの記事に関連する写真を見る

【指揮官交代でチャンスをつかむ】

── 岡田彰布氏が監督に就任し、大きなチャンスだと思いましたか。

村上 それは思いました。まず(2022年の)秋のキャンプに全員連れていくみたいな話を聞いて、自分にもまだチャンスがあると。実際にピッチャーは上の方の5、6人以外はほぼ全員参加しましたし、それまでのことは関係なく一からスタートができると思えましたし、このチャンスを絶対に生かすしかないと。ここでつかめなかったら終わるくらいの覚悟で、秋のキャンプに行きました。

── 1年目、2年目とファームでは結果を残していましたが、2022年は一度も一軍に呼ばれませんでした。そのあたり、村上投手自身はどう消化していましたか。

村上 ファームでタイトルを獲るというのは、一軍で投げていなかった証拠のようなもので、もちろん悔しさと、このままじゃクビになるんじゃないかという危機感と、なんでやろうという気持ちがありました。でも最後は「実力が足りていないんだ」と、自分に言い聞かせて練習するしかないと思ってやっていました。

── その結果、2023年は10勝、防御率も1.75。持ち前の制球力の高さも際立っており、144回1/3を投げて与四球は15。すばらしい数字だと思います。

村上 そこは組ませてもらうことが多かった(坂本)誠志郎さんのアドバイスが大きかったです。3割打者でも10回の打席で7回は失敗する。ならフォアボールを出すより、真ん中に投げてでもしっかり勝負して、打ちとる確率に賭けたほうがいい。フォアボールはもったいないから、とにかくストライクゾーンで勝負していこうと。

── それも真っすぐが強くなったからこそできたことであると?

村上 そうですね。それまではカウント2ボールでもコースギリギリに投げていましたが、ちょっと甘くなってもいいから強さを出して、ファウルをとりにいこうと考えられるようになった。真っすぐの質が上がった効果ですね。

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著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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