検索

1年春のリーグ戦で4本塁打と衝撃の大学デビュー 青山学院大・佐々木泰は2024年ドラフトで上位指名されるか

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 身長178センチ、体重83キロ。その数字だけを聞くと、「もっと大きいのでは?」と思ってしまう。青山学院大3年・佐々木泰(たい)の打席には、それほどのスケール感が詰まっている。

 本人にそんな印象を伝えると、佐々木は「たしかに『懐が広い』とか『大きく見える』とはよく言われます」と答えた。

 佐々木のことを知らない観戦者であっても、そのスイングをひと目見ただけで「おぉっ!」と驚きの声をあげるはずだ。一瞬で全身を振り絞る鋭いターンとともに繰り出される、豪快なフォロースルー。それはまるで、人気漫画『ONE PIECE』(尾田栄一郎)の主人公・ルフィのゴム状になった両腕のようによく伸びる。佐々木は周囲から「バットが長く見える」と言われるそうだ。

1年春のリーグ戦で4本塁打を放つなど衝撃の大学デビューを飾った青山学院大・佐々木泰 photo by Kikuchi Takahiro1年春のリーグ戦で4本塁打を放つなど衝撃の大学デビューを飾った青山学院大・佐々木泰 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る

【大学1年春に衝撃デビュー】

 高校時代は県岐阜商で通算41本塁打を放ち、青山学院大では入学直後の1年春のリーグ戦で初出場から6試合で4本塁打と衝撃的なデビューを飾っている。

 しかし、その後は低打率のシーズンが続くなど、1年春の実績と比べるとやや物足りなく映る。大学3年間で残した通算成績は67試合の出場で打率.245、11本塁打、27打点。だが、「ポジティブな性格」と自己分析する佐々木はこんな実感を語る。

「成績だけを見ると『あれ?』と思われてしまうと思うんですけど、自分では成長していると感じます。この1年はチャンスで打てているので、これを継続しつつ、長打と確率を求めていきたいです」

 ドラフト戦線において「右投右打の強打者」は需要が高い。ましてや内野手となるとさらに希少価値が上がり、三塁手の佐々木は今後の成長次第で争奪戦に発展する可能性すら秘めている。

 ただし、現状の注目度で言えば、青山学院大のチームメイトである西川史礁(みしょう)に先を越された感がある。

 西川は身長182センチ、体重81キロの大型スラッガー。龍谷大平安では高校通算8本塁打に留まり、本人いわく「いるかいないかわからないような選手」だった。

1 / 4

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

フォトギャラリーを見る

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る