92年以降の阪神低迷に真弓明信は自責の念 亀山と新庄を「ちゃんと教育しとかなかった」 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 8月29日、熊本藤崎台県営球場での大洋(現・DeNA)戦。3対3の同点で迎えた9回裏、一死一、二塁の場面で仲田が登板した。ひとつアウトを取ったが、次打者・高木豊に四球を与えて二死満塁。続く堀江賢治にフルカウントとし、最後はレフト前に打たれてサヨナラ負けとなった。仲田はこの日が3度目の救援登板だったが、それまでに10試合以上、ブルペンで待機していた。

【今も悔やむ幻のホームラン】

 新たな抑えを固定せず、不安を残したままシーズン終盤を迎えた9月。「あの年、本当に惜しかったな......。八木のホームランもね」と真弓が言う試合がある。同11日、甲子園でのヤクルト戦。3対3で迎えた9回裏に八木裕の2ランが飛び出してサヨナラ勝ちと思いきや、ヤクルト側が「打球はフェンスのラバーに当たったあと、スタンドに入った」と抗議した。

 一度は平光清塁審が「本塁打」とジャッジしたが、審判団が協議した結果、判定を訂正。エンタイトル二塁打として、「二死二、三塁から試合を再開する」と阪神側に伝えた。当然、阪神側は怒り、訂正は「承服できない」として中村勝広監督が審判団と折衝。その後、"誤審"を認めた平光塁審がベンチにまで入ってきたため、真弓は思わず、面と向かって口を開いていた。

「その時、監督はね『もうええ。あんまり言うと......』ってなってたけど、僕が一番年上やったから言った。『平光さん、あかんで。今まで、覆したことあんのかい? こんなんホームラン言っといて、いやホームランじゃない二塁打だって、そんなもん、言い訳もできへんで。ホームランならホームランで終わったらええやんか! 誰も文句言わへんがな』って」

 審判への抗議は監督だけに認められ、真弓は本来その立場にない。だが、選手を代表して率直な気持ちをぶつけた。それほど1勝と1敗の差が大きい時期になっていたからだが、37分間中断のあと、サヨナラ弾は幻となって試合再開。結局、延長15回で引き分け、試合時間は史上最長の6時間26分に及んだ。首位ヤクルトを僅差で追いかけていただけに勝ちたかった。

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