92年以降の阪神低迷に真弓明信は自責の念 亀山と新庄を「ちゃんと教育しとかなかった」 (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 もっとも、ヤクルトは9月に入って負けが込み、5日の大洋戦から18日の巨人戦まで9連敗。逆に阪神は9日の広島戦から19日の大洋戦まで7連勝(いずれも11日の引き分けをはさむ)。13日に首位に立ち、ヤクルトと入れ替わりで2位の巨人に3ゲーム差をつけた。残り15試合でマジック点灯も見え、マスコミに対して「優勝」を口にする選手も出始めていた。

「僕もね、優勝するんじゃないかなと思ってましたよ。『強いな』という感じじゃなかったけど。しかも、勢いがあるっていう感じでもないんですよね。勢いってね、点とって勝たないと、なかなか感じられないんですよ。そこは85年に勝った時と違ってましたね」

 7連勝の後、17泊18日の長期ロードに出た途端、眼下の巨人、ヤクルトに対して4連敗。1敗目は先発の仲田が初回5失点でKOされ、4敗目はその前日にも中継ぎで投げた仲田が2対2の9回裏に登板、サヨナラ打を浴びた。新たな抑えをつくらない"しわ寄せ"がきたのか、この敗戦で首位から転落。若い野手たちにプレッシャーがかかり始めていたといわれる。

「だいたい、残り15試合で3ゲーム差をつけて走っているようなチームは、よそのチームより強いっていう自負があるわけでしょ? それが自信になって、プレッシャーを跳ね返すということがあるんだけど、開幕からそこまで戦っている間に、チームが変わってるんですよね。とくに投手陣は先発が後ろに回ったり、抑えが入れ代わり立ち代わりだったり。

 攻撃陣は目立って活躍した選手がほとんどいないんですよ。それでも優勝争いするまでになったのはピッチャーがよかったからであって、そこが変わったから最後に勝てなくなったと思う。ただ、プロ野球の選手がね、若いから経験なくてプレッシャーかかるって、理由にならないんですよ。毎日、試合してるんですから、野手は」

【フロント、何してんねん!】

 長期ロードの13試合を3勝10敗と大きく負け越し、チームは優勝を逃した。「抑えを固定しないツケが最後に回ってきた」と言う真弓だが、この年ブレイクした亀山努、新庄剛志を中心とする若手への視線は厳しい。たとえ実質1年目でも、レギュラーで出ている以上、プレッシャーで実力を出せなかったというのは言い訳にしかならないと。

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