「大谷翔平的発想」をメジャースカウトが推奨 日本人に注目する理由と優先すべきこととは? (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

「球威は秋のアジア大会(中国・杭州)の時のほうがよかった。もっと打者の手元に食い込んでくるような力強さがありました。この大会はポストシーズンゲームだから一概に比較はできませんが、いつもはもっとすばらしい球を投げています。ただ、気になるのは故障が多いこと。高校卒業時にメジャーが手を挙げなかったのも、当時、故障気味だったからです。それを差し引けば、とても魅力的な素材です」

 また、韓国の文棟柱(ムン・ドンジュ)もメジャーが注目している選手のひとりだ。韓国球界初となる160キロをマークした本格派右腕で、188センチと体躯にも恵まれている。

「豪州戦は勝つことを最優先に抑え気味の投球でしたね。シーズン中より制球重視で、ピッチングがおとなしかった。あまり小さくまとまってほしくないんですけどね」

 それでもまだ19歳。メジャーならずとも、今後の国際大会で注目される選手になることは間違いないだろう。

【日本在住スカウトが急増】

 こうしてみると、メジャースカウトたちは野手よりも投手への関心が高いようだ。そのメジャーのスカウトたちだが、そのほとんどが日本人だった。かつて日本人スカウトといえばほんの数名で、多くはアメリカから"出張"で視察に来るケースがほとんどだった。しかし今は、多くのチームが日本在住者を採用し、日本人をはじめアジアの選手たちをチェックしている。

「それだけメジャー球団の要職に就く者が、アジア、とくに日本のマーケットを本気で重要視しているということです」

 アメリカ人の某球団のスカウトC氏はそう説明する。

「今年はWBCもあったので、私は4回来日しました。以前なら2回程度だったんですけどね」

 そしてこう続けた。

「これまで多くの日本人選手がメジャーで成功しています。でも、大谷翔平に代表されるように"スーパーな選手"が多かった。だから出張程度の視察でも、チェックは十分だったわけです」

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