斎藤佑樹が「苦手な状況設定」で相次ぐ乱調 期待に応えられず「緊張の糸が切れてしまったのか」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 8月は南三陸でイーグルスに打たれて(5回6失点)、鎌ヶ谷に戻ってからスワローズにも打たれます(6回7失点)。9月に入って西武第二球場でライオンズを相手にまあまあのピッチング(5回2失点)をしましたが、一軍の日程に余裕があったこともあってまたも昇格は見送り。

 今度こそという社会人のJX−ENEOS戦(9月13日)では、ランナーを背負いながら(4回までを)無失点で凌ぐも、5回に3ランホームランを打たれてしまいます。結局、6回を投げて(被安打10の)4失点。その日、(ファイターズの)一軍が夜に千葉でマリーンズと戦う日だったこともあって栗山監督が鎌ヶ谷に観に来ていたんですが、監督の期待に応えることはできませんでした。

 じつはこの頃、右肩にイヤな違和感が芽生えていました。まだプロ2年目ですし、夏場になれば疲れもたまってくる、シーズンを投げ抜くというのはこういうことなんだろうなと思いながら、違和感とつきあうつもりでいました。痛いわけじゃないんですが、重だるいというか、次の登板まで疲れがまったく抜けない感じで、そんななか、結果を出そうと、真夏にネットスローを繰り返しました。今となっては、少しムキになっていたのかもしれません。

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 斎藤が開幕投手を務めた2012年のシーズン、ファイターズはリーグ優勝を果たした。優勝が決まる直前にようやく1軍へ戻った斎藤は、優勝決定後、1試合の先発を経て(イーグルスを相手に5回を投げ切れず6失点で負け投手)、一軍の登録メンバーのひとりとしてジャイアンツとの日本シリーズを迎えた。その大舞台で、斎藤は右肩の状態を悪化させてしまうことになる。

(次回へ続く)

プロフィール

  • 石田雄太

    石田雄太 (いしだゆうた)

    1964年生まれ、愛知県出身。青山学院大卒業後、NHKに入局し、「サンデースポーツ」などのディレクターを努める。1992年にNHKを退職し独立。『Number』『web Sportiva』を中心とした執筆活動とともに、スポーツ番組の構成・演出も行なっている。『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社)『イチローイズム』(集英社)『大谷翔平 野球翔年Ⅰ日本編 2013-2018』(文藝春秋)など著者多数。

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