今永昇太とバウアーに移籍の可能性があっても、DeNAはなぜ左の強打者をドラフトで獲得? (2ページ目)
それ以上に、今回のDeNAのドラフトで「えっ?」と思ったことがある。
3位の武田陸玖、4位の石上泰輝、6位の井上絢登、育成1位の高見沢郁魅、育成3位の小笠原蒼と、野手すべてを"左打者"で揃えた(武田は投手だが、ずば抜けた打撃センスを評価して、野手とみなした)。
一軍レギュラークラスに左打ちが佐野恵太、関根大気ぐらいしかいないチーム構成がこうした偏った指名になったのかもしれないし、京田陽太、柴田竜拓、神里和毅、楠本泰史といった左打ちの控えクラスに刺激を与えようとしたものなのか。
それぞれのポジションで、上位にランクした選手が指名していったらこうなった......そんな関係者のコメントもあったが、球団の近未来をかけたドラフトである。そんな簡単なものではないだろう。
「うーん、よくわからないですね。理由は」
ある球団のスカウトはそう言い、こんな推論を投げかけてきた。
「これは私の印象ですけど、ベイスターズの左バッターって、それほど左投手を苦にしてないんじゃないかなぁ。佐野にしても、関根にしても、それは感じます。左打者は左投手が苦手という定説はずっとありますけど、はたして、今もそうなんですかね。逆に見ていて思うのは、左打者を苦手にしている左投手って多いんじゃないかなと。これは大学の監督さんたちもよく言っています」
今は高校野球じゃなくても、ベース寄りギリギリに立つ打者が増えた。腕や足を保護するプロテクターを着用するようになったことが大きいのだろう。インコースを潰しにくる打者が増え、投手は「当ててしまいような気がする」と、とくに左打者のコントロールに苦労する左腕が増えているという。
むしろ、左打者がサウスポーに威圧感を与えている──そうした新たな"事実"が生まれているのかもしれない。
【クセ球の強い投手陣】
その左打者偏重のなか、支配下ドラフトでは2位で松本凌人、5位で石田裕太郎の投手を指名。ともに、今のプロ野球では極めて少ないタイプの右腕だ。
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