ヤクルトルーキー4人衆プロ1年目の格闘の日々「いつか4人で一軍の舞台で」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

高校通算54本塁打のスラッガー候補・西村瑠伊斗 photo by Shimamura Seiya高校通算54本塁打のスラッガー候補・西村瑠伊斗 photo by Shimamura Seiyaこの記事に関連する写真を見る

【もっと練習を好きになりたい】

 西村瑠伊斗(京都外大西高→ドラフト2位)のプロ1年目はほろ苦いものとなった。打撃練習での力強い打球と、逆方向への飛距離は魅力に溢れていたが、試合では思うようにいかなかった。

「まず、バットにボールを当てることに苦労しました。自分のなかで『キタっ!』と思った球もファウルにさせられました。そのあとは、コーチと話し合いながら持ち味である"しっかり振れること"は残しつつ、ちょっと変えたことでヒットが出るようになりました」

 ファームで91試合に出場し打率.183、4本塁打。一軍の最終戦では代打でプロ初出場。阪神の大竹耕太郎に3球三振でねじ伏せられるも、将来への期待が込められた打席だった。

 フェニックスリーグでもなかなかヒットは出なかったが、試合に特打、特守、育成メニュー、夜間練習と野球漬けの日々を過ごした。

 守備はプロ入り後に外野から三塁に転向。土橋勝征育成チーフコーチに「なんでもカッコよくな。カッコいい選手の振る舞いを見て学ぶこと」と、土台から徹底的に鍛えられた。

「カッコよくすれば足も動くので、打球もしっかりさばけるということだと思います。自分はまだまだカッコよくないですが、高校の時とは考え方も変わってきましたし、仕事なんでやらなあかんと思うし、もっと練習を好きになりたい」

 フェニックスリーグで「何かをつかめたらいいな」と話していた西村だが、しっかり見つけることができた。

「ずっと練習していくなかで、打撃の時に軸足を一本の棒のようにすることで、軸足に溜まっていたパワーも抜けることがなくなり、力も伝わっているというか、いい感じになってきました。松山キャンプでは、今年やってきたことをしっかりやって、来年、一軍で初ヒットを打てるようにしたいです」

 11月の松山での秋季キャンプでは、ロングティーでチームトップとなる7本をスタンドに叩き込む日もあった。打球はすべてセンター方向。何かをつかみつつあるようだった。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る