谷佳知は大学時代にリーグ三冠王でも指名漏れ 失意のなか進んだ社会人で覚醒し、プロへの道が拓けた (3ページ目)
【盗塁王、最多安打のタイトル獲得】
── 2001年に二塁打52本の日本記録を樹立。二塁打へのこだわりはありましたか?
谷 右中間、左中間、一塁線、三塁線......強くて速い打球を広角に打つ。僕はホームランを量産する打者ではなく、野手の間を抜くタイプだったので数が増えたのでしょう。でも二塁打も長打ですからね(笑)。
── 2002年は41盗塁で盗塁王を獲得しましたが、失敗はわずか4でした。高い成功率のコツは何ですか?
谷 盗塁はどれだけ勇気を出して走れるか。つまり、スタートが大事です。何度も試合に出ていると、投手のクセもなんとなくわかってきます。そして、最後はスピードを落とさない"速いスライディング"も大事です。それにしても、ライバルの松井稼頭央(西武)や小坂誠(ロッテ)は、打順が1、2番で積極的に走っていました。僕は3番だったので、うしろに4番が控えていることを考えると、三盗で数を増やせなかったのが大変でした。
── 2003年は189安打(シーズン最多安打のタイトル獲得)、打率.350、21本塁打、92打点とキャリアハイの成績でした。
谷 神がかっていましたね。野球が楽しかったです(笑)。とにかく「三振は打者の負け」と思っていたので、ストレートでも変化球でも打てる球は打ちにいきました。ホームラン打者は振りにいくので三振は多いでしょうが、僕はプロで生き抜くためにミートすることに専念していました。
── 谷流「打撃理論」「ヒットを打つコツ」を教えてください。
谷 僕は右打ち、要するにライトに打つのが得意でした。右打者が内角球を引っ張るとたいていファウルにしかなりませんが、僕はフェアゾーンに入れられたし、一、二塁間に持っていくことができました。だから困った時でも、余裕を持って打席に入れたのが強みでした。
谷佳知(たに・よしとも)/1973年2月9日、大阪府生まれ。尽誠学園高から大阪商業大、三菱自動車岡崎に進み、96年ドラフト2位でオリックスに入団。2年目からレギュラーとなり、02年に盗塁王、03年に最多安打のタイトルを獲得。06年に巨人に移籍し、勝負強いバッティングで2度の日本一に貢献。14年にオリックスに復帰し、通算2000安打まであと72本に迫りながらも、15年に現役を引退した
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