助っ人投手ベスト5を野村弘樹が選出「あんなピッチングされたら打てない」と驚愕 (2ページ目)
── 次に挙げる投手は誰になりますか。
野村 これも現役投手ですが、中日のライデル・マルティネスです。2017年WBCのキューバ代表で、育成選手として中日と契約し、18年に支配下登録されました。彼の最大の武器は、身長193センチから投げ下ろす角度ある最速161キロのストレートに、同じ高さから落とすスプリット。あんなピッチングをされたら打者は打てません。マルディネスは、20年は24イニング連続奪三振、22年には28試合連続無失点をマークするなど、リーグ屈指のクローザーとなりました。
── 通算407セーブの岩瀬仁紀さんが現役引退した2018年、マルティネス投手は0セーブ。当初はクイックモーションやけん制もままなりませんでした。
野村 マルティネスは緻密な日本野球を吸収して、バージョンアップしてきました。2019年に8セーブ、20年に21セーブ、21年に23セーブ、そして昨年は39セーブを挙げ「最優秀救援投手」のタイトルを獲得しました。中日は、古くは郭源治、宣銅烈、エディ・ギャラードなど、外国人のクローザーが活躍してきましたが、マルティネスも同様に球団の歴史に名を連ねたと思います。
── 他球団に目を移しても、外国人投手がクローザーを担い「最優秀救援投手」のタイトルを獲得するケースは多いです。
野村 そうですね。ヤクルトはトニー・バーネット(12、15年)、阪神では呉昇桓(15年)、ラファエル・ドリス(17年)、ロベルト・スアレス(20、21年)がタイトルを獲得しています。パ・リーグではソフトバンクに在籍していたデニス・サファテが15年から3年連続でタイトルを獲得しました。とくにサファテは、2017年に54セーブという驚異的な記録を残しました。彼も193センチの長身から投げ下ろす、最速159キロのストレートが武器でした。
── なぜ、外国人投手のクローザーが多いのでしょうか。
野村 日本の野球は「先発」「中継ぎ」「抑え」と投手の分業制が確立しており、とくに抑えは力のあるボールで三振を奪える投手が必要になってきます。コントロールや投球術で勝負する投手よりも、パワー型の投手のほうが前に飛ばされるリスクは少ない。前に打球が飛ぶと何が起きるかわからないですからね。そういったことを加味して、外国人投手に託すチームが多かったのだと思います。
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