代打の神様・川端慎吾が明かす極意「じつに厄介な存在」で申告敬遠はすでに4つ (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 藤嶋はカウント2−1からの4球目をスプリットでセンターフライに打ちとり、ピンチを凌いだ。

「中継ぎというポジション上、川端さんとは厳しい局面で対戦する確率が高いのですが、自分の100%の力を出しても抑えられないんじゃないかというくらいのバットコントローラーですので。今年は抑えることができていますが、自分が小さい頃から見ている選手ですし、すごいバッターだと思います」

【セ・リーグでは群を抜いている存在】

 セ・リーグ某球団のスコアラーは川端について、次のように話す。

「セ・リーグの代打では群を抜いている存在だと思います。技術はもちろんすごいのですが、今年は出足でヒットを量産できたことが大きかったと思います。精神的余裕が生まれ、空振りしても自分のいい状態でスイングできています。そのことにプラスして、自分のすべきことを各打席、各カウントでできている印象があります」

 スコアラーいわく、対ピッチャーや状況に応じての駆け引きに優れているという。

「ここはアウトコース、ここはインコースに突っ込んでくると読んでくるので、勝負が早いですし、真っすぐ、変化球どちらにも対応してくる。また追い込まれたとしても、そのあとの粘りができる。ふつうは追い込んだからピッチャーはラクになるんですけど、そうはならない。どこがダメとかがないので、本当に厄介な打者です。ほかにもいろいろあるのですが、あまり話しすぎるのもよくないので(笑)」

 7月17日、前半戦最後の試合となった巨人戦は、壮絶な打ち合いとなった。10対10の同点で迎えた7回裏一死二塁、打席に丸山和郁が入ったところで、ネクストに川端が姿を見せた。

 川端は代打の準備について、「もう慣れました」と言う。本格的に代打のポジションを任されるようになってから、3年が過ぎた。

「『このへんでくるな』というところからスイッチを入れて、ネクストに入っても出番がなかったら一回落ち着いて、もう一度スイッチを入れ直す。ネクストではいつでも不安なことが多いですね。『打てるかなぁ』とか、『ゲッツーになったらどうしよう』とか。そういうネガティブな気持ちをしっかり消化してから打席に向かいます」

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