NPB通算97勝の久保康友はドイツにいた 「チームが『選手募集!』を貼り出してたんです。バイトのあれと一緒」

  • 鈴木智貴●取材・文・撮影 text & photo by Suzuki Toshiki

久保康友インタビュー前編

 日本プロ野球界で3球団(ロッテ→阪神→DeNA)を渡り歩き、NPB通算97勝という輝かしい成績を残した久保康友(42歳)は今、ドイツで野球を続けている。

 この国において野球は、認知度が極めて低いマイナースポーツのひとつにすぎず、競技規則を知る人もほとんどいない。おおよそ四半世紀も前に甲子園を沸かせた「松坂世代」のひとりである彼は、なぜそのような場所を新天地に選んだのか──。

 ブンデスリーガ1部ハンブルク・スティーラーズでマウンドに立つ久保に話を聞くため、初夏の日差しがまぶしいなか、ドイツ最大の港湾都市へと向かった。(※取材日=6月18日)

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42歳になった久保康友はドイツにいた42歳になった久保康友はドイツにいたこの記事に関連する写真を見る── 6月17日・18日の週末2連戦は、ボン・キャピタルズとの上位直接対決でした。ボンは首位、ハンブルクは2位。ブンデスリーガ1部では、この2チームの実力が頭ふたつほど抜けている感じですか?

「いや、ボンと、あとはもうひとつはパーダーボルンがまずまずですね。ボンはかなりちゃんとしたチームです」

── 現時点では、パーダーボルンよりハンブルクのほうが順位は上です。

「(パーダーボルンとの)直接対決で勝ったのと、あとは向こうが変なところで負けたりしているんですよ。ウチは取りこぼしてないんで。ただし、ボンとの試合では全部負けています。全敗っすよ(笑)。7月にボンとまだ2試合あるんですけど、たぶんまた順位を落とします。最終的には(ハンブルクは)3位になるんじゃないですかね」

── 現在9勝を挙げている久保投手は、今回のボン戦に先発して7失点。ホームランも打たれて今季3敗目を喫しました。

「うまく打たれましたねぇ。打球は詰まっていたから落ちてくるかなと思ったんですけど、パワーがありましたわ。でも、ボンの選手はあれくらいのレベルはありますよ。ちゃんと野球しているって感じです」

── ボンの先発は村田透投手でした。(※村田透=2007年ドラフト1位で巨人に入団。2023年2月webスポルティーバ記事『巨人ドラ1→メジャー→日本球界復帰→戦力外...流浪の野球人生を送る村田透「技術は上がっている。衰えはない」とマウンドを目指す』

「日本人、来ないんで。この辺境の地まで(笑)」

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