小林至が語るプロ野球発展のために必要なこと「日本版MLB.comの確立は急務だ!」 (4ページ目)

  • 飯尾哲司●文 text by Iio Tetsuji
  • photo by Sankei Visual

── 野球以外のほかのスポーツはどうなのですか。

小林 Jリーグの場合、93年の設立時から「Jリーグ映像」や「Jリーグフォト」が一括管理されています。それぞれに素材の使用申請をして、各メディア企業が映像や写真を購入するのです。

 04年の球界再編騒動の際、私は「1リーグ構想案」を出したのですが、権利関係を一度整理する意味も踏まえて、「新しいルールのもと全球団で」ということでもありました。日本人は"黒船"が来航しないとなかなか歴史が変わらない過去もあります。外資規制を取り払ったうえで、外資に主導してもらうのも一案かもしれませんね。

 来年、1934年に日本プロ野球界が産声をあげてからちょうど90年、04年の球界再編騒動から20年、日本プロ野球界はさらなる転換期にさしかかっていますと思います。

(おわり)

小林至(こばやし・いたる)/ 1968年生まれ、神奈川県出身。1991年、千葉ロッテマリーンズにドラフト8位指名で入団。94年から7年間米国在住、コロンビア大学でMBA取得。2002〜20年、江戸川大学(助教授/教授)、2005〜14年、福岡ソフトバンクホークス取締役を兼任。パ・リーグの共同事業会社「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げや、球界初「三軍制」の導入等に尽力した。立命館大学、サイバー大学で客員教授。経産省『地域×スポーツクラブ産業研究会』委員、スポーツ庁『スタジアム・アリーナ推進官民連携協議会』幹事、スポーツ庁『スポーツ産業拡大に向けた潜在分野検討会』委員、ジャングルX株式会社顧問。近著『野球の経済学』(新星出版)など著書、論文多数。博士(スポーツ科学)、学校法人桜美林学園常務理事/桜美林大学教授/大学スポーツ協会(UNIVAS)理事 

プロフィール

  • 飯尾哲司

    飯尾哲司 (いいお・てつじ)

    静岡県生まれ。『週刊ベースボール』編集部出身。野村克也氏『私の教え子ベストナイン』『リーダーとして覚えておいてほしいこと』、元横浜高野球部長・小倉清一郎氏『小倉ノート』をはじめ、書籍の企画・取材・著書多数。プロ野球現場取材歴35年。早稲田大学大学院修士課程修了。学術論文「エリートアスリートはなぜセカンドキャリアで教員を選択したのか:プロ野球選手とJリーガーの事例をもとに」(スポーツ産業学研究, Vol.33, No.1, p.63-73,2023.)

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