レジェンド審判員が厳選した先発・中継ぎ・抑えの名投手ベスト5 「何もかもが規格外」「消えるスライダーの使い手」などの15人 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

 山本由伸投手(オリックス)は昨季2年連続投手四冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振)に輝いていますが、さすがそれだけの投手とあって、球威、コントロールとも最高です。

 山本投手が一軍で脚光を浴びたのが、54試合で32ホールドを挙げたプロ2年目の2018年ですが、1年目の頃からストレートの球威とコントロールは目を見張るものがありました。長年投手を見てきた経験則から、「あの投手は必ず一軍に出てくるよ」とほかの審判に話した記憶があります。

 先発の最後は佐々木朗希投手(ロッテ)です。昨年4月10日のオリックス戦での完全試合がすべてです。あの試合、私はマスクを被らせてもらいました。ストレートは160キロ以上出ていましたし、150キロに迫るフォークもよく落ちていました。

 何もかもが規格外で、「1試合19奪三振(日本タイ記録)」「13連続奪三振(日本新記録)」というとんでもない記録も達成。でも、昨年までのプロ3年間でまだ12勝なんですね。今後どれくらい勝ち星を積み重ねられるのか、本当に楽しみです。

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【中日・小兵投手の強烈なストレート】

 中継ぎ投手は、まず思い浮かぶのがジェフ・ウィリアムス投手(元阪神)。岡田彰布監督時代の2005年、阪神はウィリアムス(40ホールドポイント)、藤川球児投手(53ホールドポイント)、久保田智之投手(27セーブ)による勝利の方程式"JFK"を確立させ、優勝しました。

 ウィリアムス投手は、サイドスローから150キロを超すストレートとスライダーが武器の投手で、なかでもスライダーは左打者の内角から外角までベースをまたぐくらい大きく曲がりました。それにキレも抜群でした。初見で打つのは至難の業だったと思います。

 ヤクルトが誇った石井弘寿投手(元ヤクルト)、五十嵐亮太投手(ヤクルトほか)の「ロケットボーイズ」も印象に残っています。守護神・高津臣吾につなぐ快速投手として活躍し、ふたりともストレートは155キロをマーク。変化球も石井投手がスライダー、五十嵐投手はフォークを持っていました。彼らのあとに投げる高津投手はコントロールと変化球のキレで勝負していただけに、打者は対応するのが難しかったと思います。

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