山﨑武司がパ・リーグの若き強打者たちを診断 清宮幸太郎ら本格開花が待たれる3人の課題、一番「バランスが一番いい」のは? (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

【安田尚憲(24歳/ロッテ)】

 高校時代の安田のバッテイングを見た時、「この年の一番の打者。すごい選手になる可能性を秘めているな」と、その素質に惚れ込みました。同い年の清宮や村上(宗隆)と比較しても、安田が一番いいなと感じていたくらい。ただ、現状は伸び悩んでいて、ポテンシャルを充分に活かしきれていないと感じることがあります。

 その理由のひとつは、これはロッテの左バッター全般に言えることですが、膝を曲げて、脇を締めて小さくスイングしてしまうクセがついている。振り抜くのではなく、バットに当てにいくようなバッテイングがどうしても目立ちます。だから、チームの方針が成長を妨げた面もあると思いますね。もちろん状況に応じてそういう打撃も必要ですが、安田のような選手はやっぱり振ってナンボですよ。

 あと、最近の安田を見ていると、上半身と下半身をうまく使えていない。高校時代は、意外と足を上げていなかったんです。バランスだけで言うなら、当時のほうがよかったようにも感じます。プロのスピード、パワーに対応するために最近は足を上げるようになってきましたが、まだ上半身と下半身のバランスがよくないのに、ある程度はバッティングができている。それは彼の持っている能力。上半身と下半身のバランスが安定してくると、もっと打球は飛んでいくと思います。

 どうしても「当てにいきたい」という気持ちが打席でも出ていて、天才的なセンスを持っているから、当たればとヒットは出る。それでも、ホームランバッターになるなら、ボールに対して体を前に持っていくような打ち方をしていたら絶対にダメ。まだまだインパクトと振りが弱いので、ボールが来たところで"パチン"と振れば、10、15mは飛距離が伸びるはずです。

 ただ、トップを引いて待てるようになったのは、プロで成長した部分だとも思う。もっと上を目指すためには、まず上半身と下半身の「軸足への体重の乗り方」を意識していくこと。あとは、まだまだ肉づきも足りないし、「もっと自分が!」と前に出てくるような性格面もスラッガーには大切。そのあたりを改善できるとだいぶ変わるでしょうね。

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