大学球界屈指の名コーチになった元中日・辻孟彦が師匠・山本昌と語り合う投手指導論。「違和感を感じられることが大事」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kai Keijiro

山本昌 そもそも、日体大の投手陣は何人いるんですか?

 4学年合わせて70人くらいです。

山本昌 えぇ〜、それを辻コーチが一手に引き受けるんですよね。それは大変だ。

 学生野球ですから、いろんなレベルの選手がいます。プロや社会人に行くような選手もいれば、将来教員になって子どもに野球を教えるような選手もいます。人によってアドバイスの内容は変わってきますが、トップクラスのレベルの動きを見たり、時には一緒に練習したりすることに価値があると考えています。

山本昌 差別はいかんけど、区別はしないとね。でも、大変だよなぁ。高校から上がってきたばかりの子は、どうやって指導するんですか? まだ素質だけでやっている子もいると思うんだけど。

 投球フォームに関しては、最初の3カ月くらいは、ただ見るだけですね。選手によって指導のされ方、練習の仕方が違うので。

山本昌 おぉ、なるほど。

 高校の3年間って、大きいと思うんです。その選手にとっては原点なので、それをまず崩さないように気をつけています。どんな練習をやってきたのか、どんな指導のされ方をしてきたのか、観察しながら会話しながら少しずつ理解していきます。だから1年生には「辻さん、突っ立ってるだけで何も指導してこないな」と思われているかもしれません(笑)。

【辻コーチが考える投手指導論】

山本昌 投球フォームはどんな部分をチェックしているんですか?

 僕は大きく分けて2つです。1つは並進運動、いわゆる体重移動の部分。2つめは回転運動、体幹が回転するところですね。この2点でロスしているところはないか、動きにおかしなところはないかを見ます。でも、最初は体重移動から入りますね。ここからすべてが変わってしまうので。

山本昌 体重移動のやり方も人それぞれに違うものね。真っすぐに立ってからスーッと自然に体重移動できる子もいれば、軸足(右投手なら右足)のヒザを曲げないと物足りない子もいるでしょう。

 多いです。力が入っていることを体感したいみたいで。

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