名コーチ・伊勢孝夫が考えるWBC侍ジャパンベストオーダー「4番は村上宗隆ではなく大谷翔平にした理由」

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Taguchi Yukihito、Koike Yoshihiro

 侍ジャパンの代表合宿も迫り、WBCへの関心もまた一段と高まってきている。本番が近づくにつれ気になるのは、誰がどんな使われ方をするのかということだ。投手なら先発ローテーション、第2先発候補、リリーフ陣、クローザーの人選。打者なら打線のオーダーだろう。そこで名打撃コーチとして多くの打者を育て上げた伊勢孝夫氏に、自身が考える侍ジャパンのベストオーダーを考えてもらった。

昨年三冠王を達成した村上宗隆(写真左)と一昨年のア・リーグMVPの大谷翔平昨年三冠王を達成した村上宗隆(写真左)と一昨年のア・リーグMVPの大谷翔平この記事に関連する写真を見る

【4番を決めてから打線を構築】

 これは私の独断と偏見で考えたオーダーであって、栗山英樹監督ならこう組むだろうと予想したものではないことをまず断っておきたい。

1.山田哲人(二)
2.吉田正尚(左)
3.鈴木誠也(右)
4.大谷翔平(指)
5.村上宗隆(三)
6.岡本和真(一)
7.ヌートバー(中)
8.甲斐拓也(捕)
9.源田壮亮(遊)

 私が打順を考える時、最初に決めるのが4番だ。上位が出塁し、クリーンアップが走者を還すというオーソドックスな考え方によるものだが、4番は打線の中心であり、チームの顔である。昨今は「2番打者最強説」があり、私も賛同する部分だが、それでもまだ4番の重要性は大きいと思っている。

 そこで今回は、まず大谷を4番として考えた。これは単純な話で、このチームで最も安定した打撃ができる打者であるということだ。大谷の特長は、長打はもちろん、日本の打者が苦手としているメジャーレベルの強くて鋭く変化するボールに最も対応できるという点だ。エンゼルスで4番を打った経験があるかどうかは定かではないが、彼なら問題ないだろう。

 4番が決まれば、あとは1番から組んでいく。山田哲人、吉田正尚、鈴木誠也と続き、村上は5番がいいと思った。

 昨シーズン、史上最年少で三冠王を達成し、押しも押されもせぬ日本球界ナンバーワン打者に成長しただけに、「村上は4番」という意見は多いだろう。だが、これだけの強打者が揃っていることを考えれば、4番の重荷から解放し、ラクな気持ちで打席に入らせたほうがいいのではないか。村上といえども、外国人投手に多いツーシーム系の速い球に苦慮するのではないかと思ったことも、この打順にした理由だ。

 一応、ジグザグにもなり、相手投手の左右に関係なく攻めていける打線にした。

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