ソフトバンク打線に待望の右の長距離砲。正木智也は昨季とは「まるで別人」の打球でレギュラー獲りへ名乗り (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Sankei Visual

 それを秋季キャンプでも継続。11月に一度だけ巨人との練習試合が組まれ、正木は4番スタメンで出場。初回の第1打席で先制の犠牲フライを放つと、3回の第2打席では左中間へ会心のソロ本塁打を放り込んだ。試合でも通用する──それはたしかな自信となった。

【2ケタ本塁打以上は絶対】

 プロ2年目に向けて覚醒の予感を漂わせるが、そのためにはまずチーム内の競争に勝たなければならない。正木の本職は外野手だ。しかし冒頭で記したように、近藤の加入で外野は超激戦区となった。レフトの近藤とライトの柳田がほぼ確定となると、残るセンターのポジションを牧原大、周東、あるいは上林誠知らと競うことになる。

 当然ながら、外野でのレギュラー獲りは容易ではない。となれば、もうひとつ可能性があるのはファーストだ。大学時代に経験があり、昨年も一度スタメンで守っている。

 ただ、昨年までソフトバンクの正一塁手はベテランの中村晃だ。最多安打のタイトル経験があり、守備では昨季まで2年連続ゴールデングラブ賞に輝いている実力者である。ただ近年は膝のコンディション不良の影響もあり、本来の打撃力を発揮できずにいる。中村自身も「このオフに2年契約をいただいたけど、今年ダメなら終わりと思っている」と、悲壮な覚悟を口にするほどだ。

 また中村の場合、近藤と同タイプの打者だ。打線のバランスを考えれば、右のスラッガーとして正木が起用される可能性は十分に考えられる。

 チーム内競争はとにかく厳しい。それでも正木は「今年は全試合レギュラー。2ケタ本塁打以上は絶対」と強い決意を口にし、プロ2年目のブレイクに挑む。

【著者プロフィール】田尻耕太郎(たじり・こうたろう)

1978年生まれ、熊本市出身。 法政大学で「スポーツ法政新聞」に所属。 卒業後に『月刊ホークス』の編集記者となり、2004年8月に独立。 九州・福岡を拠点に、ホークスを中心に取材活動を続け、雑誌媒体などに執筆している。

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