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ソフトバンク打線に待望の右の長距離砲。正木智也は昨季とは「まるで別人」の打球でレギュラー獲りへ名乗り (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Sankei Visual

プロ2年目を迎えるソフトバンクの正木智也プロ2年目を迎えるソフトバンクの正木智也この記事に関連する写真を見る そのなかでとくに注目したい若鷹が、2年目の正木智也だ。東京都大田区出身の23歳で、慶應義塾高、慶應義塾大出身のエリートボーイ。高校通算50本塁打を放ち、東京六大学リーグでも13本塁打をマークした長打力を武器に、2021年ドラフト2位でソフトバンク入りした。

 ルーキーイヤーだった昨年は、35試合の出場で打率.254、3本塁打、5打点とプロの壁にぶち当たった感はある。また、同じ右打者のルーキーだった野村勇(26歳/ドラフト4位)が球団新人記録に83年ぶりに並ぶ10本塁打を放ったことを考えれば、水をあけられたと言わざるを得ない。

 しかしシーズン終了後の秋季キャンプで、正木は見違えるような打撃を見せていた。

 一見すれば力感のないスイングに映る。ただ、バットから弾かれた打球はホームランアーチスト特有の放物線を描き、まるでピンポン玉のように勢いよく飛んでいく。しかも何発もスタンドに放り込み、飛距離も以前より格段に伸びた。

 以前の打撃を知っているからこそ、まったくスタイルが異なるのが一目でわかる。正木本人に理由を尋ねると、少し照れ笑いを浮かべながらうれしそうに話し始めた。

「ひとつ変えただけですが、それがハマりだしたのだと思います。些細なことですが、ポイントはバットのヘッドを意識したことです」

 それまでは思いきり強く振ることで打球を遠くに飛ばしていた。アマチュア時代はそれでよかったのかもしれない。しかし、それではプロのスピードや変化球のキレなどに対応できなかった。

 昨シーズン途中も、始動の部分で無駄な力みを省いて振り負けないようにするため、あらかじめ手を動かしながらタイミングをとるなど工夫を凝らしていたが、もうワンランク打撃を向上させるには新たなチャレンジの必要があった。

 昨年10月の「みやざきフェニックスリーグ」で、二軍打撃部門を担当していた吉本亮コーチ(今季から一軍打撃コーチ)がヒントをくれた。

「自分の力で振り回すんじゃなく、バットのヘッドの重みを利用したらどうだ」

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