広岡達朗が中日・立浪監督が断行した大型トレードに言及。「一番やってはいけないことは感情論で選手を放り出すことだ」

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Koike Yoshihiro

 今シーズン、立浪和義新監督のもと新たなスタートを切った中日だったが、終わってみれば一軍、二軍ともに最下位に終わった。そんな中日がオフに京田陽太とDeNAの砂田毅樹、阿部寿樹と楽天の涌井秀章という2件の交換トレードを成立させ、ストーブリーグを賑わせている。

 主力の二遊間内野手を放出するという大胆なトレードを敢行したことについて、球界のご意見番である巨人OBの広岡達朗は半ば激昂気味に語る。

このオフ、2件の大型トレードを断行した中日・立浪和義監督このオフ、2件の大型トレードを断行した中日・立浪和義監督この記事に関連する写真を見る

【なぜ阿部の交換要員が涌井なのか?】

「ショートの京田はゲーム中に強制送還させられ、下(二軍)に落とされた経緯もあって、トレードの発表を聞いた時は『やっぱりそうか......』と思ったもんだ。でも、シャープな振りで勝負強いイメージのある阿部を出すというのは、どういうことなんだ? 主力を出すということは普通ありえない。トレードに出すというのは、なんらかの欠点があるのかなと勘ぐってしまう。立浪は好き嫌いで選手を起用しているわけではないと思うが、あんなことをしていたらチームがどうなっていくのかわかっているのだろうか。

 しかも阿部の交換要員として獲得したのが、36歳の涌井である。実績は申し分ないが、35歳以上の選手を獲るべきではないと思っている。どんないい選手でも、必ず衰える。たとえば、メジャーでやっていた選手が晩年に日本に戻ってプレーすることがあるが、まともに結果を残せたのは皆無に等しい。実績、センスがあるからといって、歳を重ねた選手に何億ものお金をかけて獲るというのは理解できない」

 立浪監督はこのトレードに関し「トレードとは、互いのチームに欠けている部分を補うものと考えている。一方だけではなく、双方の思いが寄らないと成立しない。いろんな意見があると思うが、双方のチームにとって相乗効果が出ることが望ましい。これだけ打撃において成績が芳しくないのだから、まずは投手の整備をすることが急務であり、重要事項だと考えた」と、主力野手を放出してまで投手を獲得した理由を述べている。

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