広岡達朗が中日・立浪監督が断行した大型トレードに言及。「一番やってはいけないことは感情論で選手を放り出すことだ」

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Koike Yoshihiro

 とくに阿部は、今季133試合に出場して打率.270、9本塁打、来季も打線の核となる一員だったはずだ。だからこそ、立浪監督の言葉を額面どおりに受け取れないファンも多いのだろう。広岡が続ける。

「今季、岡林(勇希)が出てきたように、来季も期待の若手を継続して使っていくんじゃないか。その心意気はわかるが、だからといって未知数の若い選手たちに期待するのは、正直しんどい。もし若手の成長が期待どおりにならなかったら、来年も最下位争いだ。とはいえ、あえて若手の成長に期待するほうへ舵を切ったのだから、立浪も腹をくくったのだろう」

 ここ数年、同じ顔ぶれのまま低迷している現状を突きつけられた立浪監督は、まずレギュラー陣を見渡し、これ以上の上積みは厳しいと見て二遊間に見切りをつけた。

 さらに、課題である打線をすぐに立て直すのは難しいと判断し、投手力強化に踏みきった。打線の強化に関しては、若手の成長と外国人頼みにならざるを得ないが、このトレードの成否はシーズンが始まってみなければわからない。

 監督主導のトレードやドラフトは、中長期的観点からチーム運営には適さないと言われているが、3年契約の1年目終了後に限っては、チームの現状を把握し、補強ポイントもわかっている監督に、ある程度の権限を持たせてもいいという意見もある。

 はたして、立浪監督が理想とするチームにどれだけ近づくことができるのか。いずれにしても、来季は今年以上に結果が求められることは間違いなさそうだ。

【著者プロフィール】松永多佳倫 (まつなが・たかりん)
1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年8月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。

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