地味だけどスゴイ! カープの2年目サウスポー・森浦大輔。ピンチにも動じない強心臓で、侍ジャパン生き残りへアピール (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Koike Yoshihiro

 だがブルペンで肩をつくり、最後の1球を投げきるとスイッチが入る。いざマウンドに上がれば別人となり、ピンチにも動じない強心臓で、強気な投球を貫く。

 右打者に対してクロスファイヤーに内角を突く真っすぐには角度があり、外角低めに逃げていく軌道のチェンジアップでかわす投球は巧みだ。左腕でありながら、左打者よりも右打者のほうが被打率は低く、侍ジャパンの栗山英樹監督は「右打者を抑えられる左腕として、みんなと違う目線で見ている」と評価する。

野球人生初の日本代表

 今季は開幕直前に二軍降格となるも、4月22日に一軍昇格を果たすと、栗林につなぐセットアッパーに定着。シーズン終盤にはリーグタイ記録となる10試合連続登板を果たすなど、チームにとって欠かせない存在となり、新人から2年続けてチーム最多となる51試合に登板した。

 天理大の1年、3年時に日本代表合宿に招集されたが、いずれもメンバーに選ばれることはなかった。そんな森浦がようやくたどり着いた日本代表の座。大学時代に届かなかった日の丸を背負うことに喜びはあるかと聞くと、「そうですね......ちょっと」と控えめに笑うだけ。いつもの森浦だった。

 10月の秋季練習からWBC使用球での練習も始め、10月下旬には実戦感覚を養うために宮崎県でのフェニックスリーグに参戦した。2試合に登板して、計2イニングを無失点。臨戦態勢を整え、いざ侍ジャパンの戦いに挑む。

 来春開催されるWBC本番に向け、投手陣争いは熾烈を極める。今回選ばれた有望な若手投手だけでなく、チームメイトの栗林ら実績組も多くいる。生き残りは険しい道のりだ。それでも、いつもは控えめな左腕ははっきりと意気込みを口にする。

「まずは強化試合でしっかりと。全力で投げて、アピールしたい」

 タレント揃いの侍ジャパンで存在感を示すことができれば、世界への扉も開かれるかもしれない。

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