ヤクルト最強ブルペン陣が突きつけられた現実。「オリックスのリリーバーを見て、目指すべきところはまだまだある」 (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 清水は2勝1敗1分けとして迎えた第5戦の前、取材陣に対応した。

「野手陣や先発陣が頑張っているなかで、リリーフ陣として体が張っているとは言えないです。このしんどさは僕らにしか味わえませんが、喜びを感じながらやっています。残り数試合ですが、村上(宗隆)や先発陣に負けないくらい、『中継ぎ陣は最後に追い上げたね』と言われるよう頑張っていきたいです」

 10月30日、日本シリーズ第7戦を前にヤクルトは2勝3敗1分と追い込まれていた。ふだんは徒歩で球場に通うマクガフが、この日はタクシーで夫人と同伴でクラブハウスに現れた。

 マクガフは第5戦の9回裏、吉田正尚にサヨナラ本塁打を浴び、第6戦では1点ビハインドの9回に登板するも、自らの送球エラーなどもあり、リードを広げられたところで途中降板していた。

 高津監督は第6戦の試合後、マクガフについてこうコメントした。

「結果は残念ですが、彼の性格であったり、いろいろなものを知ってるので。もちろん手を抜いたり、ヤケにならず、一生懸命やっているプレーだと思っています。(明日については)今から考えたいと思いますが、彼への信頼は変わらないです」

 クラブハウスの入口で夫人とハグするマクガフの姿を見て、シーズン中に同じ場所で囲み取材をした時のことを思い出した。

「コロナ前はみんなと焼肉に行ったり、カラオケで歌ったりしていました。途中から歌に入って口ずさむけど、日本語は難しいので......。みんなからはジョン・デンバーの『カントリー・ロード』を歌ってよとリクエストがあるんですよ(笑)」

 マクガフは顔を赤らめ、恥ずかしそうにチームメイトとのエピソードを教えてくれた。

 崖っぷちとなった第7戦。ヤクルトは味方のエラーも重なり、5回までに5失点。それでも、マクガフはベンチ外となったが、ブルペン陣は4回1/3を無失点継投。8回裏にホセ・オスナの3ラン本塁打などで1点差に迫るも、2年連続日本一は果たせなかった。

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