ヤクルト最強ブルペン陣が突きつけられた現実。「オリックスのリリーバーを見て、目指すべきところはまだまだある」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 二軍では左打者に対してシュートを投げきることを課題に練習するなかで、後輩の木澤に「どういうピッチングしてるの?」とLINEで尋ねた。

「木澤とは二軍でずっと一緒にやってきて、今年は一軍で結果を出したので、何か違うところがあるのかなと。木澤からは『真ん中めがけて投げています』と言ってもらい、僕とは球の速さもスタイルも違いますが、カウントをしっかりつくることでは共通するので、いいヒントをもらいました」

 久保は「試合ではなんとかスコットにいい形でつなごうという気持ちで投げています」と話し、左のワンポイントの役割を果たしつつ、僅差やリードの場面での1イニングを任されるようになった。その結果、キャリアハイとなる29試合に登板し、プロ初勝利も手にした。

先発&野手から見たブルペン陣

 こうしたブルペン陣を、先発投手や野手は頼もしく思っている。

「毎日プレッシャーのかかるなかでブルペンの人は待機しているので、できるだけいい形でつなぎたいと投げています。すごいなと思いますし、自覚をもってそれぞれが仕事を果たしているので、本当に信頼しています」(小川泰弘)

「守護神のスコット、8回の清水、そして6、7回の中継ぎ陣、対左打者のワンポイントもそうですけが、みんなが自分の役割を理解して仕事をしている。だから日本シリーズを迎えられたのだと思います。ブルペン陣がとてもダイスキです」(サイスニード)

「今年のブルペン陣は、試合の流れをもっていかれそうなところを、いろんなピッチャーが抑えることで踏ん張ってくれました。そのいい流れがあったから、打線でなんとか逆転する状況がたくさんあったと思います。試合中盤で粘れたのは本当に大きかった」(青木宣親) 

 シーズン終盤の9月、二軍の江花正直ブルペン捕手は短期間だったが一軍のブルペンに入ることがあった。江花氏は「ブルペンに入って感じたのは、出番が近い時はみんな集中して近寄りがたいのですが、普通に待っている時はいい意味でリラックスしていたことでした」と話した。

「田口がブルペンに来ると明るい雰囲気が増します。みんな自分の出番を把握していて、試合が動き出したらコーチが言う前に動き出す。だから、ベンチから電話があってもすんなり(試合に)入れるというか、さすがだなと思いましたね」

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