ヤクルト最強ブルペン陣が突きつけられた現実。「オリックスのリリーバーを見て、目指すべきところはまだまだある」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 その田口は、ベテランと若手との"つなぎ役"の役割も果たした。

「投手陣には石川(雅規)さんというお手本がいて、中継ぎでも石山(泰稚)さんという先輩がいます。そうしたお手本になる先輩と若い選手たちとのトークの架け橋じゃないですけど、そういう手伝いができればとやっています」

 田口をはじめ、今シーズンは試合中盤から7回までは固定せず、選手の状態や相手との相性を鑑みながら、柔軟な運用で新しいリリーフの形をつくってきた。

木澤尚文と久保拓眞の台頭

 清水は「今年は中継ぎ陣がうまく循環しているなと思います」と話した。

「誰がどの場面でマウンドに上がっても大崩れしないですし、若さゆえの思いきりのよさがあるのかなと思っています。2年目の木澤(尚文)がブルペン陣の台風の目になってくれて、左の久保(拓眞)もシーズン後半はチームの力になってくれました」

 木澤はドラフト1位の即戦力として期待されるも、昨年は一軍未登板。今年の春季キャンプで伊藤智仁コーチの「失敗を恐れて挑戦しないのが一番の失敗」という助言を受け、手応えをつかんでいった。この時、伊藤コーチは「逆転の発想もあるよ」とも伝えたという。

「木澤がキャンプの段階でシュート回転を直そうとしているのを見て、球は強いんだから逆にシュートを投げちゃえばいいんじゃないのと。ストライクゾーンに思いきって投げればなんとかなるという感じでしたので」

 木澤は開幕一軍を果たすと、常時150キロを超えるシュートを武器に、マクガフと並んでチーム最多となる55試合に登板。崩れかけた試合を立て直す役割をまっとうし、逆転勝利につなげることでチーム最多タイとなる9勝をマークした。

 久保は4月1日に一軍登録されるも、11日に抹消。だが7月に新型コロナウイルス感染による一軍選手の大量離脱でチャンスが回ってきた。

「チームは大変な状況でしたが、僕自身、去年は一軍登板がなかったですし、4年目ということで結果を出さないと危ないと思うところもあり、なんとか爪痕を残したいという気持ちでした」

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