ヤクルト高津監督が語る、緊急事態だったあの日と激動のペナントレース。CSは「勝つことしかイメージしていません」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

── シーズン終盤は、エース級投手との対戦が続きました。

「それが首位チームの宿命だと思っています。僕らが逆の立場だったらそうするでしょうし、それでひっくり返されたり、チーム状況がガタガタになってしまうようではチャンピオンにはなれません。結果的に勝ちっぱなしとはいきませんでしたが、そこで踏ん張れたのは、去年の経験や今年の前半の好調であったり、いろんな選手との関係性であったり、いろいろなところでチーム力がついたのかなと感じています」

── 今年は大事な試合をほとんど勝ちきった印象があります。4ゲーム差に詰められた、8月26日からのDeNAとの横浜スタジアムでの3連戦は、まさにその象徴的な試合でした。DeNAは直前まで8連勝を記録。ホームでは17連勝中でした。

「こちらの状態は非常に悪くて、いろいろなよくない条件が重なっていたところに乗り込んでいきました。ただ僕自身は、『まだ勝負どころじゃない』『ムチを入れるところではない』と思っていました。なので、3連戦を前に選手たちには、とくに何も言っていません。たとえばリリーフを無理させることもしませんでしたし、ふだんどおりの戦いをしようと3連戦を迎えました」

── 結果、3連勝でゲーム差を7に広げました。選手たちはどんな感じだったでしょうか。

「勝ったから言えるかもしれませんが、とくに感情に変化があったようには見えませんでした。あの時のベイスターズはすごく勢いがあったのですが、絶対に負けられないというところでの硬さが、もしかしたらあったかもしれないですね」

── そして9月11日のDeNA戦に勝利して、マジックが再点灯しました。

「この時は『11』という現実味のある数字だったので、よしもうひと踏ん張りだという感じでした。最初の時はまだ7月2日で、『53』という数字だったので本当に何も思わなかったです(笑)」

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