ヤクルト高津監督が語る、緊急事態だったあの日と激動のペナントレース。CSは「勝つことしかイメージしていません」 (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

── (取材時点で)CSファイナルまで1週間となりました。どういった戦いのイメージを持っていますか。

「まだ対戦相手が決まってないのと、やはりいつの時代も短期決戦は難しい。1つのアウトが、その1球が、最大で6試合を大きく左右するので、初球からフルスイング、初球から全力投球には変わりないですね。この練習期間中に確認と復習を繰り返し、体調も万全に整えられるように休養を与えながら、CSを迎えたいと思っています。いろいろなことを想定していますが、もう勝つことしかイメージしていないです」

── 二軍で調整を続けている奥川恭伸選手についてですが......。

「みなさん見たいと思っていらっしゃるでしょうけど、そこは答えづらいですね(笑)」

── 3月のオープン戦終盤に「今年は時代の変わり目じゃないですけど、こうしてどんどん新しい選手が出てくることがチームの活性化になる」と話していました。10月3日のシーズン最終戦(DeNA戦)は、その言葉を象徴する夜で、内川聖一選手、坂口智隆選手、嶋基宏選手というベテラン3人の引退がありました。

「非常に寂しい気持ちにはなりますけど、勝負の世界、プロの世界ですから......、彼らのキャリアはすばらしいもので、ここまでよく頑張って、次にしっかりとバトンを渡してくれたと思っています」

── 3人の引退試合で村上宗隆選手は56号本塁打を放ち、王貞治さん越えの日本選手年間最多本塁打記録を樹立。史上最年少で三冠王にも輝きました。また高卒2年目の内山壮真選手と高卒3年目の長岡秀樹選手が2者連続本塁打。スワローズの未来が見えた気がしました。

「長岡と壮真については、彼らを本当の一人前にするためには卵の時から暖めてないといけない。そういう思いで我慢して使い続けました。3年後、5年後、孵化してもまだひよこで、一人前ではないかもしれないですけど、それなりのプロ野球選手になってくれていたら、今年の彼らの経験と、僕の我慢がやっと報われるのかなと思っています。

 ムネ(村上)についてはそのバッティングがチームにもたらす影響はすごく大きかったです。ムネを二軍のころからずっと見てきましたが、卵からこうしてニワトリどころじゃないというか、とても大きなものを残してくれる選手に成長してくれました」

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