吉井理人新監督のもと、ロッテが最優先すべきはセンターラインの確立。二遊間両獲りで常勝の足がかりを

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masaahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2022〜ロッテ編

「2025年の常勝軍団化」と、遠大な目標を掲げているロッテ。井口資仁監督が電撃退任し、吉井理人氏の新監督就任が決まったが、今シーズンの戦いぶりを見ると、最大の収穫は近未来を戦っていく"チームの軸"ができたことだろう。

 チームの軸とは、若きエース・佐々木朗希とルーキー捕手・松川虎生のバッテリーのことだ。加えて、プロ3年目で今季はチームトップの148安打を放ち、パ・リーグ盗塁王を獲得した髙部瑛斗が不動のリードオフマンに成長。"センターライン"の確立が見え始めた。

 これまでロッテのドラフトと言えば、"左腕獲得"が恒久的命題のように思われ、毎年のように左腕を指名してきたが、いまだ「この選手がロッテの左腕エース!」と胸を張れるような存在は誕生していない。

 昨年、「ついに左腕エース誕生か!」と思わせた小島和哉(早稲田大)も、今年は自己最高の防御率をマークしながら、3勝11敗と勝負運に苦しむシーズンを送った。ただ、ピッチング自体は悲観するものではなく、来季もローテーションを担ってくれるはずだ。

俊足・攻守の二塁手、駒澤大の林琢真俊足・攻守の二塁手、駒澤大の林琢真この記事に関連する写真を見る

左腕よりも二遊間

 例年どおりの左腕補強なら曽谷龍平(白鴎大/183センチ・79キロ・左投左打)とかいう話になるのだろうが、ここはいっそ「二遊間補強」で、本物の強力センターライン構想にかじを切ってもいいのではないか。

 セカンドには不動のレギュラー・中村奨吾がいるが、心身の負担の大きなポジションだ。リーグ有数のバッティング技術をフルに生かすためにも、一塁手としての起用あり......として、二塁手、遊撃手の一挙両獲りでどうか。

 遊撃手の近未来のレギュラーなら、イヒネ・イツア(誉/184センチ・83キロ/右投左打)。日本人にはなかなかできない柔軟性と強さを兼備したダイナミックなアクションの守備ワークにはスター性が溢れ、三遊間深い位置からの矢のようなスローイングはプロでも売り物になろう。力任せに振っていたバッティングも、この1年でずいぶんと成長した。

 二塁手は、林琢真(駒澤大/174センチ・74キロ/右投左打)が獲れたら、リードオフマン髙部との脅威の1、2番コンビが形成される。

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