ヤクルト高津監督が語る、緊急事態だったあの日と激動のペナントレース。CSは「勝つことしかイメージしていません」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

若手の躍動と引退した3人のベテラン

── ところが9月の10連戦を目前に、またも新型コロナウイルスによって、先発の高橋奎二選手や小澤怜史選手、ほかにも二軍の投手陣の多くが離脱する事態になりました。

「正直、先発ローテーションのやりくりが非常に難しくて困りましたし、痛かったですね。7月の時は不幸中の幸いというか、先発ピッチャーの離脱者がそれほどなかったので......。やはりゲームの大半はピッチャーが握っていて、なかでも先発でしたからね」

── こうした先発陣の苦しい台所事情を救ったのが小川泰弘投手でした。9月は3週連続で1対0となる試合に先発して、そのなかで2勝を挙げるなど見事なピッチングでした。

「1対0のゲームって、些細なことが勝敗をわけてしまうスコアなのですごく難しいんです。0対1で負けてしまうこともあるわけですから。そこで小川をはじめ、あとをつないだリリーフ陣が踏ん張ってくれた。野手もしっかり守った証拠だと思います。小川の8月、9月のピッチングはチームを救ったと思います。それまでのパフォーマンスは褒められたものではなかったのですが(笑)」

── 9月24日のDeNA戦では、台風の影響で試合開始が大幅に遅れましたが、球場関係者による懸命のグラウンド整備や水抜き作業もあって、ゲームをすることができました。試合は8対1の快勝で、優勝マジック「2」となりました。

「整備して下さった方々があっての、翌日に優勝を決めたゲームがあったんじゃないかと。開始時間が何度もずれこんで、正直、あれだけグラウンドに水がたまっていたので、試合はできないと思っていました。先発のサイスニードも、審判団の方もそうですし、待っていてくれたお客さんも大変だったと思いますが、満員のなかでプレーボールがかけられて本当に感謝しています。チームの優勝を決めてくれた方々だったと思っています」

── そして、ようやくたどりついたセ・リーグ2連覇でした。

「もちろん、みんなと1年間を戦ってきて9月25日に優勝を決められた喜びは大きかったのですが、優勝というよりも1位で通過できたという気持ちが強かったですね。日本シリーズにむけて、CSをファイナルから試合ができる権利を得ることができたという。とはいえ、いちばんの感情はホッとしたことかなあ。帰るのはちょっと遅くなりましたけど、幸せな日曜日の夜を過ごさせてもらいました(笑)」

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