「もっと目一杯投げろよ」郭泰源に石毛宏典が思っていたこと。どの球種も一級品で「どんな打者でも抑えられた」 (3ページ目)
――球を受けていた伊東勤さんは、郭さんの制球力を絶賛されていましたし、球を受けていて楽しかったということも言われていました。
石毛 低めに地を這うような真っ直ぐがビシバシ決まるし、ほとんど球が高めにいかないから、キャッチャーとしてはラクだろうし安心できたでしょうね。
――飄々と投げているイメージで、ピンチでも動じない投手という印象があります。
石毛 そうですね。気持ちを昂らせて投げるようなタイプのピッチャーではありませんでした。そこそこの力で投げた真っ直ぐでも抑えることができますし、「そんなに無理しなくてもいいじゃん」という打算的な部分も感じました。それだけの能力があるピッチャーでしたから。
ナベちゃん(渡辺久信)や工藤はマウンドで闘志が表に出るタイプでしたが、泰源はそうではなかった。個人的には闘志が見えたほうが、「こいつは必死だな。頑張っているな」ということがわかりやすくていいなとは思うんですけどね。だから泰源には、「ビシッと投げんかい!」と言いたくなってしまうんです(笑)。
―― 一方で故障が多かった印象がありますし、当時の先発投手としては珍しく、200イニング以上投げたシーズンがありませんでした。
石毛 細い体ですごい球を投げていたので、当然どこかに無理がくるだろうなとは思っていましたが、確かに故障がちでした。「肘が痛い」「肩が痛い」と言うことが多かったですね。登板を回避したり、シーズンの前半は頑張ったけど後半は投げられなかったという年もありました。
昔は中4日や中5日での先発が一般的だったけど、泰源の場合は中6日で投げていたんじゃなかったかな。大事に起用されていた印象が残っています。
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