村上宗隆が5打席連続本塁打の日本記録。取材ノートから紐解く「村神様」の覚悟に指揮官は「只者じゃなかった」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

── たくさん経験をしたことで、新たに自分に求めるものができたのでは?

「技術的なところでは、ずっと高みを目指して、そこに向けての目標はあるのですが......。今は試合を経験することで、気持ち的な部分で求めていることがあります。チャンスで打てなかった、ヒットが打てなかった......そういう悔しさ、気持ちの部分というか、『次はこういうふうに挑んでいこう』と、そういうことを試合で求めているものがあります」

最初はできないことが多かった

 こうした村上の野球選手としての本質は、年数を重ねるごとに深みを増しているようだ。それはグラウンドでの振る舞いや取材での言葉を聞けばよくわかる。

 3年目はコロナ禍で試合数が120試合に短縮された影響で本塁打こそ28本だったが、打率.307をマーク。昨年は史上最年少で通算100本塁打を放ち、本塁打王も獲得。シーズンMVPにも輝いた。

 そして5年目の今シーズンは、2年連続MVPはもちろん、2004年の松中信彦(当時・ダイエー)以来となる三冠王も視野に入っている。

 先日、高津監督は「僕は要求が高いですし、厳しいことも言いましたが、ようやく『ムネ(村上)、おまえは4番だ』という感じがしますね」と語っていた。

 5打席連続本塁打を記録した試合後の囲み会見では「ムネは入ってきた時から、只者ではないと思っていました」と話し、こう続けた。

「ここまで来ることは、想像はしていました。でも(成長速度としては)スタートはめちゃくちゃ緩かったですよ。できないことも多かったですし。最近は......とくに最近ですよね。これを成長と一緒にしてはいけないのかもしれませんが、いい結果が出ている。でもこれで終わらないと思っています。まだまだ成長していくと思っています」

 グラウンドでは村上がヒーローインタビューのお立ち台に立っていた。

「4打席連続は意識していました。今日ホームランを打つ夢を見ていたので、もしかしたら打てるんじゃないかと思って打席に立ちました」

 村上の表情にはまだあどけなさが見え隠れしていて、やはりまだ22歳なのだと実感すると同時に、この若きスラッガーのさらなる成長に身震いがするのだった。

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