真中満が選ぶ現役時代の "最恐ピッチャー5人" 。「『来たっ!』と思って振る。でも、バットの軌道はボールの下なんです」 (3ページ目)
同じカットボールでも、得意、不得意があった
ーー真中さんが現役時代を過ごした1990年代、2000年代には中日・川上憲伸投手、広島・黒田博樹投手など、各チームに個性的なエースがいましたね。
真中 憲伸も黒田もいいピッチャーだったけど、「恐い」と思ったことはないんですよね。別にカッコつけるわけじゃないけど、「打てそうもないな」と思ったピッチャーはいないんです。どんな投げ方であろうと、最終的にはホームベース上を通過するわけだから、こちらがそれなりの対策をすれば、必ず攻略方法はあるはずだと考えていたから。たとえば、スピードが速いのならばポイントを前に置くとか......。
ーーそうすると、他にはもう「恐いピッチャー」はいませんか?
真中 ......あっ、思い出した。阪神の谷中真二はイヤだったな。今で言うカットボールなんだけど、当時は「真っスラ」って言って、ストレートの軌道でちょっとだけスライドする変化球で、わかっているのに全部差し込まれて詰まるんです。ポイントを前に置いたり、ホームベースから離れて立ったり、いろいろ試したけど全然ダメだったな。
ーーカットボールと言えば川上憲伸投手の代名詞でしたね。
真中 そうそう。でも、憲伸のカットはカモにしていたんだけど、谷中のカットボールはまったくダメだった。曲がり幅が違うのか、曲がる角度が違うのかわからないけど、まったく打てなかったな。もともと、カットボールは好きなんで、つい手が出ちゃうんだけど、谷中のボールは「怖かった」かな(笑)。たしか、7勝か8勝した年があったでしょう......。
ーー阪神時代の2001年に7勝を挙げていますね。
真中 その年かな? 本当にいつも詰まらされていた記憶がありますね。ここまでに名前が挙がったのが、藤川球児、上原浩治、山北茂利、広池浩司、ジェフ・ウィリアムス、そして谷中真二......。あ、6人いる(笑)。じゃあ、タイプが似ているから広池を外しましょうか。
ーーということは、真中さんにとっての「最恐ピッチャー」は、藤川、上原、山北、ウィリアムス、そして谷中。この5名の投手ということでよろしいでしょうか?
真中 そうだね。この5人は、みんな個性を持ったピッチャーで、それぞれに苦しめられたから、この5投手を僕にとっての「最恐ピッチャー」ということにしましょうか(笑)。
(おわり) (前編「新監督の序盤戦通信簿」から読む>>)
【プロフィール】
真中満 まなか・みつる
1971年、栃木県生まれ。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。
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