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【ボクシング】山中慎介が断言 井上尚弥や中谷潤人を筆頭に「スーパーバンタム級でも日本人同士でベルトを争う時代がそこまできている」

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

山中慎介インタビュー 後編

(前編:山中慎介から見た井上尚弥は「衰えた」どころか「手がつけられない」 KO以外で見せた圧倒的な強さを解説>>)

 ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)戦後、井上尚弥(大橋)は「倒しにいかないことがこれほど難しいとは」という言葉を残した。KOを狙わずに試合を完全に支配したモンスターを、トップランク社のボブ・アラムCEOは「コンプリートファイター」と評した。会場には来年の対戦が予定されている中谷潤人(M.T)の姿もあり、ファンは頂上決戦へと期待を膨らませている。

 同じ興行のセミファイナルでは、武居由樹(大橋)がクリスチャン・メディナ(メキシコ)に衝撃の4ラウンドTKO負け。プロ初黒星で王座陥落となった。群雄割拠の様相を見せるバンタム、スーパーバンタム級戦線について、元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏に聞いた。

勝利した井上尚弥からの呼びかけに応える中谷潤人 photo by 東京スポーツ/アフロ勝利した井上尚弥からの呼びかけに応える中谷潤人 photo by 東京スポーツ/アフロこの記事に関連する写真を見る

【井上尚弥は「コンプリートファイター」】

――試合後に井上選手が口にした、「倒しにいかないことがこれほど難しいとは」という言葉についてどう思いましたか?

「『倒したいけど、相手のパンチを警戒して攻めきれなかった』というケースはありますよね。でも、自分にブレーキをかけて、あえて倒しにいかないというのはあまり聞いたことがないです(笑)。勝ちに徹して隙を与えない、という戦い方ですよね」

――試合前の予想で「井上選手は根っからのファイター気質で"打ち合い上等"のタイプ」とおっしゃっていましたよね。山中さんご自身も、そういった気持ちになったことはありますか?

「そうですね。自分も初防衛戦でビック・ダルチニアン(オーストラリア)と戦った時(2012年)、最終ラウンドで、ポイントで勝っていると思っていたので、『(KOを狙いに)いっていいですか?』と会長に聞いたら『ダメだ』と。やっぱり選手としては『チャンスがあれば倒したい』という気持ちが強いんですよね」

――トップランク社のボブ・アラムCEOが、井上選手を「コンプリートファイター」と評していましたね?

「まさにそうだと思います。12ラウンドをあのスピードで動かれたら、フェザー級でも十分通用するでしょう。テレンス・クロフォード(アメリカ)が2階級上げてサウル・"カネロ"・アルバレス(メキシコ)に触れさせなかったように、井上も階級を上げて同じ展開に持ち込める気がします。今回のボクシングを見せられたら、どこまでいけるのか、シンプルに見たくなりますよね」

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著者プロフィール

  • 篠﨑貴浩

    篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)

    フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。

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