即戦力ルーキーは誰だ? 防御率1点台、打率3割超えなどオープン戦で光った逸材をチェック

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by 産経新聞社

プロ野球2022開幕特集

 3月25日に開幕するプロ野球。今年は育成選手を含め、128名の新人選手が入団した。なかでも1年目から「即戦力」の期待を背負うルーキーは、どんなキャンプ・オープン戦を過ごしたのか。「2022ルーキー報告・早春版」をお届けしよう。

開幕ローテ入りした西武のドラ1ルーキー・隅田知一郎開幕ローテ入りした西武のドラ1ルーキー・隅田知一郎この記事に関連する写真を見る 
 今季の新人王最右翼と見られているのが、西武のドラフト1位左腕・隅田知一郎(すみだ・ちひろ)だ。昨秋のドラフト会議では4球団から重複1位指名を受けた逸材だが、西日本工業大から支配下でドラフト指名されたのは隅田が初めて。厳しい生存競争と華やかな世界への気後れを心配するファンもいたかもしれない。春季キャンプでは、審判から使用するグラブの色使いが規定に反すると指摘される場面もあった。

 だが、この投手の神経の図太さは並ではない。4球団の指名を受け、一躍「時の人」になったドラフト直後でさえ、隅田は涼しい顔で日常を生きていた。大学に提出するレポートを淡々と作成し、馴染みのうどん店で祝福の声をかけられても平静な様子で応えていた。どんなに周囲が過熱しようと、本人は目の前のやるべきことに専念する。そんなマイペースさこそ、隅田の非凡さなのだ。

 やがて、隅田は実力で自身の存在を認めさせていく。オープン戦では3試合15イニングを投げて防御率1.80。早々に開幕一軍ローテーション入りを確定させた。

 とはいえ、プロ野球のシーズンは長い。年間通して公式戦に投げ続けた経験はないだけに、コンディションを維持できるか。新たなタスクをクリアした時、隅田は新人王のタイトルに近づくだろう。

 また、西武では2位指名の左腕・佐藤隼輔(筑波大)もオープン戦で実力を発揮した。当初はリリーフとして開幕一軍入りするかと思われたが、今井達也が右内転筋の張りを訴えたためオープン戦最終戦で佐藤が先発登板。5回1安打無失点と一発回答で、開幕先発ローテ入りが確定した。新人左腕コンビが、昨季の最下位チームの救世主になるかもしれない。

 昨年のドラフト会議で、もっとも即戦力を求めた球団は広島だった。素材型選手を猛練習で強化して一人前に育てる伝統があるチームだが、投手陣の駒不足と鈴木誠也(カブス)の流出という危機に瀕して、大学生・社会人を多く獲得した。

 なかでも1位の黒原拓未(関西学院大)と2位の森翔平(三菱重工West)の両左腕は、是が非でも一軍投手陣に加わってもらいたい存在だ。キャンプ当初は黒原がシート打撃で打ち込まれ、森がアピールに成功。ところがオープン戦が始まると状況は一変し、先発ローテーション候補だった森が乱調。尻上がりに状態を上げた黒原が、力強い速球とカットボールを武器に台頭。一軍中継ぎ陣の一角に加わりつつある。

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