ヤクルト清水昇が松坂大輔、藤川球児、古田敦也を質問攻めに。金言を胸に挑むNPB史上初の快挙

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

プロ野球2022開幕特集

 東京ヤクルトスワローズの清水昇は春季キャンプ中、自分の身になるものを見つけるために精力的に動いていた。

「これから絶対必要になる球であったり、右バッターの打ちとり方など、多くの方にとても勉強になるアドバイスをいただけました。自分にとっては練習というよりも、話を聞けたことが大きな収穫でした」

 解説者の松坂大輔氏、藤川球児氏、そして古田敦也臨時コーチから金言を授かり、ブルペンでは「しっかり数を投げることができました」と、昨年の1日20〜30球を大きく上回る1日70〜80球を投げ込み、3連投するクールもあった。

2年連続最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得したヤクルト清水昇2年連続最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得したヤクルト清水昇この記事に関連する写真を見る 球数を多くしたことは、清水なりの意図があった。

「今年は延長がありますし、スライダーを投げたあとの真っすぐがシュート回転しやすいとか、引っかけやすいとか、その確認もありました。一昨年は開幕が6月にずれ込み、昨年は東京五輪による1カ月間の中断がありました。僕にとって、今年は未知数のフルシーズンになります。やってみる価値はあるかなと思って、多めに投げました」

 心身とも充実したキャンプでの1カ月を過ごしたのである。

質問魔の本領発揮

 清水にとって4度目となる春季キャンプ。1年目は石川雅規のキャッチボールにプロの凄味を感じ、2年目は闇雲に1日200球を投げ込む日もあった。3年目は地に足をつけて課題に取り組み、4年目はシーズンの戦いを想定してしっかりと準備を行なった。

 とくに2月は「自分から動いて、いろいろな人に話を聞きたい」と、プロの先輩たちに質問する姿をたびたび見ることになった。キャンプ序盤、昨シーズン限りで現役を引退した松坂氏がヤクルトキャンプに訪問すると、清水はすぐさま駆けつけた。

「松坂さんの大きなスライダーと小さなスライダーについてお聞きしました。去年の自分は、困った時にフォークと真っすぐに頼っていた部分が多く、曲がり球をひとつないしふたつ、覚えたいと思っていたんです」

 去年もスライダーは投げていたが、見せ球にしかならなかったと言う。

「スライダーを勝負球やカウント球など、いろいろなところで対応できるボールにしたい。ピッチング練習で試したところフィーリングが合いましたし、オープン戦でもストライクとファウルがとれたので、そこは収穫でした」

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