ヤクルト清水昇が松坂大輔、藤川球児、古田敦也を質問攻めに。金言を胸に挑むNPB史上初の快挙 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 そして「今年はブルペンにもっと注目を集められたら」と言葉に力を込めた。

「昨年は投手陣が......と言われるなかで、クローズアップされたのは先発陣だったと思うんです。だからこそ、今年は『ブルペンで勝ちをとった』と言われたい。中継ぎだって自分ひとりでは回らないですし、前のイニングを投げたピッチャーから渡されたバトンをしっかり受けとり、次の投手へつなぐ。そのことだけを考えてやっていきたいと思っています」

 春季キャンプ最終盤、清水がブルペンでピッチングをしていると、山田哲人が投手の生きたボールを確認したいと打席に入った。山田はキャプテンとして「去年は清水と一番話をしたんじゃないですかね」と話している。

 清水は山田について「話をするというより、いじられているというか」と笑った。

「マウンドでは気合いやハッパをかけてもらうこともあれば、ふざけている時もありました。オンとオフがしっかりしていて、僕にとってはすごく助かっています」

 ブルペンでのピッチング終了後、山田と清水はブルペン捕手を交えて、しばらく話し込んでいた。清水は「昨年、右打者に対していい時もあれば、極端に打たれることもあった」と、許した12本のホームランがすべて右打者だったことを引き合いに出した。

「この時は、真っすぐとフォークはいいから、どこで違う球種を持っていくかをバッター目線でお話ししていただきました。これから実戦が始まる時期だったので、いい情報をいただくことができました」

 そのなかで右打者から見たカーブの軌道についての話もあり、ふたりはブルペンで再度向き合い、清水はカーブを4球投じたのだった。

「こういう軌道はどのバッターに有効で、どのバッターに危険なのか。その確認のための4球でした。今後、使い分けをしたほうがいいんじゃないかと......」

 2月28日、清水はキャンプ打ち上げの手締めを任された。

「高津(臣吾)監督のもと、選手一人ひとりが全身全霊で頑張っていきたいと思います」

 清水は謙虚で礼儀正しく、野球に貪欲な選手だ。昇る階段は、まだまだ上にあるのだった。

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