ロッテ松川虎生はどこがすごいのか。史上3人目の偉業も現実味、ルーキーらしからぬ技術と貫禄

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 2月19日の日本ハムとロッテとの練習試合。ロッテ先発の3年目・佐々木朗希が160キロ超の快速球を連発。絶大な期待を担って入団した佐々木の能力の高さにあらためて驚愕したが、それよりも驚いたのがバッテリーを組んだドラフト1位ルーキー・松川虎生(こう)の堂々とした守備ワークだった。

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高卒ルーキーらしからぬ雰囲気

 市立和歌山高校時代からドッシリ構える捕手だったが、まったく変わっていない。

 高校からプロ入りして1年目のキャンプ。右も左もわからないはずのプロ野球の世界。10歳以上も離れている先輩たちがいるなかで、戸惑いや遠慮、ひるみのようなものは当然あると思っていたが、そのようなネガティブな気配がまったく見えないのがまたすごい。

 堂々とした立ち居振る舞いができるのは、よほどの自信がある証拠だ。

 この練習試合でマウンドに上がった佐々木は、立ち上がりから球筋が荒れていた。高校時代からシュート回転するストレートが多い投手ではあったが、この日は抜けた感じの球が再三あって、それでもコンスタントに160キロ前後のスピードが出るのだから、受ける捕手としては落ち着かないものだ。

 右打者のアウトコースに構えるも、インコースに抜けてくる。そんな逆球でも平然とミットを入れてストライクにしてみせる。高卒ルーキーなら捕球するだけでもひと苦労なのに、松川はボールの強さに負けないようにミットを立てるようにして捕球していた。

 また、追い込んでから杉谷拳士に投じた高速フォークは、外に引っかけ気味に叩きつけるようなショートバウンドになったが、サッと反応して、ほぼ体の正面に入ってミットの芯で捕球してみせた。

 さらに、万波中正を2球で追い込んでからの高速フォーク。1球前のストレートと同じ軌道からホームベース上にカッと突き刺さるようなフォークを、止めにいくのではなくしっかり捕球した。

 カーブ、スライダーなど、緩い変化のショートバウンドは上体をクッションにして止めにいって、球勢の強いワンバウンドのボールはミットに吸収していく。一軍の試合で何年もマスクを被っているならわかるが、実質まだ高校生の選手である。

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