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石川雅規は「こんなに小さくて大丈夫か?」から現役20年。八重樫幸雄が指摘する体の強さと活躍の要因 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【探求心と目的意識を持ってキャンプに臨む】

――公称167㎝という、あれだけ小柄な体格ながら、いきなり2002年に12勝9敗で新人王を獲得。以降、2006年まで5年連続で2ケタ勝利を挙げています。当時、八重樫さんは石川投手のことをどのように見ていましたか?

八重樫 1年目はやっぱり驚きました。最初は「こんなに小さくて大丈夫か?」って思っていたのに、とんとんと2、3勝しましたから。「夏場になったらスタミナは大丈夫かな?」と思っていたんだけど、そんなに一気に崩れもしなかったから、さらにビックリしました。平塚での横浜戦だったと思うけど、印象に残っている場面があるんです。

――平塚ではどんなことがあったんですか?

八重樫 この時、テレビ解説で野村収(元阪神ほか)さんが球場に来ていたんですけど、石川が野村さんのところに走って行ってあいさつをしたんです。それで、しばらく2人でいろいろ話していて。不思議に思って、野村さんに「石川とはどんな関係なんですか?」と聞いたら、2000年のシドニー五輪で一緒だったみたいですね。

――野村さんはシドニー五輪の時の投手コーチで、当時青学大2年生の石川さんも代表入りしていました。実は先日、野村収さんにインタビューをしたんですけど、大学時代の石川投手のことを絶賛していましたよ。

八重樫 そうなんです。平塚で話した時も、野村さんが石川を絶賛していたんですよ。この時は「意外とスタミナがあるから、夏場も乗り切れるぞ」ということと、「小柄だけど肩が強いんだ」と言っていました。実際に、プロ2年目、3年目も2ケタ勝つけど、石川がバテている印象はほとんどなかったです。

――小柄ではあるけれど、スタミナも抜群だったんですね。

八重樫 キャンプでも、館山(昌平)と石川は競うように球数を放っていました。普通に150球ぐらい投げて、終盤には一日200球投げることもありましたね。あと、研究熱心だから、毎年春のキャンプでは新球に挑戦していました。あとはクイックで投げたり、じっくりボールを持ってみたり、目的意識を持ってキャンプで挑戦して、それをオープン戦で試してみる。そんな姿勢が見られました。

――プロ20年目となった2021年シーズン終了時点で、通算177勝です。目標としている200勝まで残り23勝。これだけ長い間活躍できて、成績を残している要因は何だと思いますか?

八重樫 先ほど言ったように、本当に研究熱心であること。体は小さいけど、丈夫で、肩が強く、スタミナがあること。あとはバッターのタイミングを外したり、狙い球を絞らせなかったり、いわゆる「投球術」が抜群ですよ。次回はそのあたりを詳しくお話ししましょうか。

(第100回:ヤクルトといえば「ピッチャーは石川という時代が訪れてほしい」>>)

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