中日・石川昂弥に必要なのは村上宗隆流の育成法か。将来の「真の4番」へ打ちたい布石

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 以前よりもトップの位置が浅くなり、あれほど大胆につくっていた体の左右の"割れ"もいくらか遠慮気味になって、豪快に振り抜くことよりも空振りしないことを最優先しているように見えた。こういうのが「プロの壁」というのか......と、石川ほどのバットマンでもこうしたバッティングになってしまうところに、プロのすごさをあらためて認識させられた。

「振ろうと思って踏み込んだ時には、もうボールが来ている。どのようにしてタイミングをとったらいいのか、ホントわからなくて......」

 以前、プロ1年目を終えたある選手が、そんなことを言っていた。プロに進んだバットマン、とりわけ高卒で入団してきた選手が最初に驚くのは、この"体感スピード"だという。

 ギリギリまでボールを呼び込んで、持ち前のパワーに金属バットの反発力も味方につけて、やや詰まり気味に打ったほうがむしろ飛距離が出る......ホームランを量産する高校生スラッガーがよく話してくれる"飛ばすコツ"である。

 これが木製バットで、しかもキレのある140キロ台のスピードボールを当たり前のように弾き返さないといけないプロの世界に進むと、「打球が飛ばない......」「打球が上がらない......」という話はよく聞く。

「慣れればいいんです。すごいボールをたくさん見て、すごさに慣れてくれば自然とタイミングもとれるようになってきます」

 のちにリーグを代表する打者に成長したある選手の"金言"である。

【二軍の4番にしてはいけない】

 高卒の打者が時を経ずして一軍のクリーンアップに台頭した例を挙げるとすれば、近年だとヤクルトの村上宗隆だろう。

 早稲田実業の清宮幸太郎(日本ハム)や履正社の安田尚憲(ロッテ)と同じ2017年のドラフト組で、はずれ1位ながら3球団による競合の末にヤクルトに入団。

 1年目はファームで17本塁打をマークすると、2年目のシーズンにヤクルトは村上にポジションを与えた。どんなに三振しても「将来の主軸に育てるんだ!」とばかりに使い続け、チーム唯一となる全143試合に出場。リーグ最多の184三振を喫し、打率も.231と苦戦したが、それでも36本塁打、96打点とたしかな手応えを残した。

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