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川端慎吾の打撃は「川上哲治レベル」。八重樫幸雄は日本一を決めたヒットを「わざと詰まらせた」と分析

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

「オープン球話」連載第98回 第97回:川端はプロ入り時点で「完成されていた」>>

【一球で仕留める代打稼業の難しさ】

----さて、今回も「代打の神様」としてヤクルト日本一に貢献した川端慎吾選手について伺っていきます。今回は「代打稼業の難しさ」を中心に伺いたいと思います。現役晩年は八重樫さんも代打の切り札として活躍されましたね。

八重樫 現役選手なら誰でも、「レギュラーで試合に出たい」と思うものですよ。でも、監督から、チームから「代打」という役割を与えられた時に、どうやって気持ちを切り替えるか。そのへんがとても難しいんです。

2021年の日本シリーズ第6戦で決勝のタイムリーを放った川端2021年の日本シリーズ第6戦で決勝のタイムリーを放った川端この記事に関連する写真を見る----八重樫さんの場合、その切り替えはスムーズにできたんですか?

八重樫 僕の場合は40代になる頃だったし、野村(克也)監督時代には兼任コーチだったので、その切り替えはスムーズだったと思います。キャンプに入る時には「絶対にレギュラーに」と思っていても、キャンプが終わり、オープン戦が始まって監督の起用方法を見ていると、自然に自分の役割も理解できますからね。

----でも、川端選手の場合は故障明けとはいえ、まだ34歳です。そのあたりの切り替えは大変だったんでしょうか?

八重樫 大変だったでしょうね。真中(満)も、30代後半は代打の切り札として活躍したけど、川端の場合はさらに若いですから。彼の「もう一度レギュラーに戻りたい」という思いは強いと思います。

----実際に、昨年オフの契約更改の席上でも「もう一度レギュラーに」と発言していますね。あらためて、「代打稼業の難しさ」を教えていただけますか?

八重樫 とにかく「一球勝負」なんですよね、代打というものは。自分の打てるボールがきたら、それをいかにして初球から逃さずに仕留めることができるか。これが本当に大切で、本当に難しいんです。これは極端な例かもしれないけど、僕の場合はよっぽどのボールじゃなければ、リラックスするために必ず初球から振っていました。慎吾には慎吾なりのリラックス法があるんじゃないのかな?

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