2022.01.13

ヤクルト川端慎吾はプロ入り時点で「完成されていた」。コーチ時代の八重樫幸雄が感じた天性の打撃センス

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

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【第一印象は「角富士夫に似ている」】

――さぁ、2022年の幕開けです。今回からは、「代打の神様」として昨年の日本一の立役者となり、日本シリーズ第6戦で決勝タイムリーヒットを放った川端慎吾選手について伺います。川端選手は2005年高校生ドラフト3巡目でのプロ入りでした。

八重樫 慎吾が入団してきた時は、僕は一軍のバッティングコーチでした。印象としては、「とにかくバットの使い方が柔らかいな」と感じたし、「これは面白いぞ」と思いましたね。最初はずっと「誰かに似ているな」と思っていたんだけど、角富士夫に似ていることに気づいたんだよね。

プロ入り当初から打撃センスが高く評価されていた川端プロ入り当初から打撃センスが高く評価されていた川端 この記事に関連する写真を見る ――くしくも、両者とも背番号5を背負っていましたね。1980年代にヤクルトのサードのレギュラーとして活躍した角さんと川端選手はどういう点が似ていたんですか?

八重樫 入団当初は高校を出たばかりでまだ体もできていなかったから、スイングスピードが特別に速かったわけじゃないけど、ボールをとらえるポイントがしっかりしていたんです。そして、タイミングの取り方も抜群だった。右打者と左打者の違いはあるにしても、角の打ち方にそっくりだったんですよ。

――高卒野手としてはかなり完成されていたんですね。以前、この連載では「岩村明憲がプロ入りした際も、すでに完成されていた」とのことでしたが、岩村さんと川端選手を比較した場合、いかがですか?

八重樫 バッティング全般に関して言えば、パワーも兼ね備えていた岩村のほうが完成度は高かったと思います。でも、慎吾も高校生とは思えないセンスの持ち主でした。バッティングで大切な「ポイントとタイミング」がすでに完成されていた。これは天性のものだから、あとは力強さだけ。これは体ができてきたら、すぐにクリアできる問題でした。

――バッティングに大切なふたつの要素を入団時から兼ね備えていたということは、数年後にレギュラー選手になる姿はすでに見えていたんですね。

八重樫 体が完成すれば問題なく打つだろうな、とは思っていました。きちんと筋トレをして、走り込み、振り込みをしていけば何も問題はないだろうと。もちろん、同時に守備もプロのレベルまで鍛え上げなければいけなかったですけどね。