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川端慎吾の打撃は「川上哲治レベル」。八重樫幸雄は日本一を決めたヒットを「わざと詰まらせた」と分析 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

【たったの一打席なのに倦怠感がハンパない】

----昨年の川端選手の打席を見ての、彼のすごさを教えてください。

八重樫 慎吾は一球にかける集中力が本当にすごかった。もともと、低めの対応力は並外れたものがあったけど、相手ピッチャーの高めの速球にも力負けせずに、軽く振っているように見えました。あれは相当な集中力で打席に臨んでいる証拠だと思いますよ。

 僕の場合は暑さ寒さに関係なく、自分の打席が終わったあとにものすごく汗が出ました。きっと慎吾のユニフォームも汗でビチョビチョだったんじゃないかな?

----それぐらい緊張感を伴うものなんですね。

八重樫 代打の一打席が終わった時は、めちゃくちゃランニングをした時と同じぐらいの汗が出ましたよ。そして、試合が終わってクラブハウスに戻った時には倦怠感というのか、グッタリしました。

--------代打というのは、いつ出番が回ってくるのかわかりませんよね。それに、自分が「よし、ここでオレの出番だ」と思った時に指名されなかったり、その反対に意外な場面で「さぁ、ここで頼むぞ」と言われたり、メンタルの維持もかなり大変だと思います。

八重樫 そうですね。そこは本当に大変でした。代打専門になったばかりのシーズン序盤は、そのタイミングがつかめなかったこともあったけど、試合を重ねて夏場になる頃には自分の考えと監督の考えが一致するようになりました。野村監督も、僕に気を遣ってくれて「おいハチ、打席に立ってみるか?」と聞いてくれるんです。それで準備ができていない時は「今日は結構です」と言ったり、「はい、行きます」と言ったりしたこともありましたよ(笑)。

----2021年の川端選手は代打の切り札としてシーズン30安打を記録しました。これまで培ってきた技術と、メンタルコントロールがうまくいったからでしょうか?

八重樫 まさにそうでしょうね。かつては苦手にしていた高めのストレートにも力負けすることなくスイングできたのは長年の努力の成果だったと思うし、代打で起用されて初球からフルスイングできるのはメンタルを整えて集中力を高めたから。技術とメンタルの両面が充実していたからこその結果だったと思いますね。

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