高校中退、戦力外通告、契約白紙...波瀾万丈の歩み。元阪神の右腕が夢見る最後の舞台 (2ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text & photo by Asa Satoshi

 独立リーガーとして迎えた2013年シーズン、19歳の福永は06BULLSのエースとして11勝4敗、防御率1.93という圧倒的な成績を残した。なによりも1年を通して135イニングを投げきったことは、福永にとって大きな自信となった。

 翌シーズンも1点台の防御率を残した福永は、さらなる高みを求めて四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに移籍した。

 毎年のようにNPBに人材を送り込んでいるこのリーグでも、福永の実力はいかんなく発揮された。2年連続して6勝をマークし、1年目は2.44だった防御率は、2年目には1.38と飛躍的に上昇した。球速も150キロを超え、この年のドラフトで阪神が6位で指名した。

【プロの厚い壁を打ち破れず4年で戦力外に】

 NPBの世界は独立リーグとまったく違った。まして人気球団の阪神である。それまで道を歩いていても誰からも気づかれることはなかったが、一夜にして声をかけられる存在になった。

 スタンドの雰囲気、選手のレベル......とくに一軍の試合はこれまでとは比べものにならないほどのインパクトがあった。

 1年目にして一軍デビューを果たした福永だったが、黄金時代真っ只中にあった広島相手に4イニングを投げて10安打6失点。味方打線が猛反撃をしてくれたおかげで敗戦投手は免れたが、あらためてプロのレベルの高さを痛感させられた。

 二軍では2年目に防御率と勝率のタイトルを獲るなど好成績を残したが、一軍の試合では勝敗がつくことはなかった。要するに、勝敗がかかるような場面でマウンドに上がることはなかったのである。

 結局、一軍の壁を破ることができず、昨年オフに戦力外通告を受けた。

「まだできる」

 そう思った福永は、NPB復帰を第一目標にまずは12球団合同トライアウトを受けた。結局オファーはなかったが、古巣である徳島インディゴソックスがバックアップを約束してくれた。

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