高津臣吾監督「いろいろな方針や目的がある」。ヤクルトが日本一で証明したチームビジョンと青木宣親が語っていた理想の野球 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 日本シリーズでは、サンタナは2本塁打、オスナは第4戦で決勝タイムリーを放つなど、チームの勝利に貢献した。

「来日してすぐに、それもふたり揃って活躍してくれるなんてなかなかないですからね。チームを日本シリーズまで導いてくれたのは、間違いなく彼らの力が大きかった。ともに日本の野球を勉強し、研究しながらここまでやってきたのかなと思います」

 高津監督の言葉どおり、ふたりともあっという間に日本の野球に馴染んでいった。なにより、チームに溶け込むのがとても早かった。

「言ってしまえば、メジャーは自分が活躍して勝利に貢献するという意識ですが、日本はみんなで次の1点をとるという、チームが同じ目的で勝利へ向かっています。自分の調子がよくない時は、ほかの選手がカバーしてくれる。そのスタイルは新鮮でしたし、好きなところです。まだ日本に来たばかりなんだけど、本当に長いつき合いのようで、チーム全員が友だちです」(オスナ)

 4年前、メジャーから日本球界に復帰した青木に、チームスポーツとして日本とアメリカの違いについて質問すると、こんな答えが返ってきた。

「アメリカは個を、日本は組織を大切にして動きます。僕はどっちにもいいところ、悪いところがあると思っていて、ヤクルトはいいとこ取りというか、うまく融合できたらいいですよね」

 今年のヤクルトの戦いを見ていると、それが実現できているように思えた。たとえば、決勝打を放った青木に対して、村上が手荒い祝福をしたシーンがあった。日本の体育会特有の"上下関係"文化のなかでは考えられないことだった。

「自分はプレー中に上下関係は気にしていないですし、ふだんからリスペクトしてくれているのは伝わってきますしね」

 そう語る青木に、今のヤクルトについて日本とメジャーの野球の文化がうまく融合しているか聞いてみた。

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