高津臣吾監督「いろいろな方針や目的がある」。ヤクルトが日本一で証明したチームビジョンと青木宣親が語っていた理想の野球 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 大下は即戦力を期待されて入団したが、過去2年は防御率が5点台と苦しみ、今シーズン途中にサイドスローに転向した。シーズン終盤、大下はこんなことを語っていた。

「ゴールデンウィークに二軍に落ちた時、正直『終わった』と。その時にどうせダメなら最後まであがいてやろうと、思いつきでひじを下げてみたんです。やってダメならあきらめもつきますし。今は投げられることがうれしいとか楽しいとかではなく、とにかく毎日が必死。打たれたら速攻で二軍だと思って投げています」

 日本シリーズでブルペンに入ることは叶わなかったが、シーズンでは中継ぎ投手としてチームの終盤の逆転劇に大きな役割を果たした。

 高津監督は、2017年にドラフト指名された5人が日本シリーズのメンバーに入ったことについてこう話した。

「2017年のドラフト組が本当によく頑張ってくれた。チームにはいろいろな方針や目的があります。そのなかで毎年、新しい選手を指名させていただき、3年後、5年後、10年後にどういうチーム像になっているのかをイメージする。そういう意味で、彼らが頑張ってくれたことは、チームのビジョンとしての成功例の一部だと思います。

 これが2017年組だけじゃなく、今年入った選手もそうですし、これから入る選手もそうです。チームとして成功していくために、これからも選手の育成や成長は大事にしていかなければいけないと思っています」

■青木宣親が4年前に語っていた理想の野球がついに実現

 今年のヤクルト打線を語るうえで欠かせないのが、新外国人のドミンゴ・サンタナとホセ・オスナである。これまでヤクルト打線の最重要課題だった村上のあとを打つ"5番問題"が解決し、打線は12球団ダントツの625得点を記録した。

 高津監督はふたりの獲得について、「まずポジションから考えました」と獲得の経緯について説明した。

「長打力があって、一塁と三塁を守れる内野手をひとり、そして外野手をひとりほしいというのを(球団に)要望しました。動きや守備の面でいろいろと難しいことはありましたが、打線の厚みを最優先して、彼らの獲得になりました」

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