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OBの館山昌平が分析。なぜヤクルトはシーズン前の下馬評を覆し、日本一を達成できたのか (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 高梨投手の状態というのは、おそらく現場もわかっていたはずです。神宮と同じようにブルペンが外にある球場なので、2番手で投げることになるスアレス投手は展開を読みながら、自分の登板に向けていい準備ができたと思います。

 その後は清水(昇)投手がイニングをまたいで、8、9回を抑え、田口(麗斗)投手を挟んで、延長10回2死からマクガフ投手をマウンドに送りました。

 第6戦の継投は、「1点もやらないんだ」という高津(臣吾)監督の強い思いが表れていました。さすが現役時代に日本シリーズなど多くの修羅場をくぐり抜けてきた投手だけあって、短期決戦の戦いを熟知しているなと思いました。

 決勝点を挙げた川端(慎吾)選手は二死1塁で代打に送られ、5球目にパスボールで走者が2塁に進塁しました。状況が変われば配球は変わりますし、外野手も前進守備となり、1塁が空いていたので勝負を避けられる可能性もあった。いろんなことを考えながらの打席となったので、難しかったと思います。

 そんななか、極限までボールを引きつけて、逆方向に打ち返すという、川端選手の技術が詰まったバッティングでした。

 紙一重の戦いが続いた今年の日本シリーズは、ヤクルトが4勝2敗で日本一に輝きました。シーズン中から「ピッチャーが弱い」と言われてきましたが、日本シリーズでは全投手が「やってやるぞ。オレたちで1点でも少なく抑えよう」という姿勢が見て取れました。

 2戦目で青木(宣親)選手が決勝タイムリーを放ち、チーム最年長の石川(雅規)投手が4戦目で勝利投手になった。そして6戦目では川端選手の一打が日本一を呼び込みました。今回のシリーズでは、村上(宗隆)選手、塩見選手、奥川(恭伸)投手、高橋(奎二)投手ら、若い選手が本当にすばらしい活躍を見せた一方、要所でベテラン勢がまとめてチームを鼓舞していました。

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