谷繁元信が「配球が難しかった」と感じた外国人打者5人「対ピッチャーというより、対キャッチャーの意識でくる」 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 それとよく使う手は、初球を見逃すことだ。初球にカーブが来たら、次はおそらく違う球種がくる。日本のピッチャーは、同じ球種を連続で投げるのはあまり好きではないからね」

 こうした思考こそ、谷繁氏に「ピッチャーというより、対キャッチャー」と言わしめる部分だろう。

 谷繁氏が「配球が難しかった」と感じた5人の外国人打者には、共通点がある。「技術があって、ピッチャーだけでなくキャッチャーのことも考えて打席に入っている」ことだ。

 ラミレスに続いて挙がったのは、トーマス・オマリー(元ヤクルト、阪神)、ロバート・ローズ(元横浜、ロッテ)、アレックス・カブレラ(元西武、オリックス、ソフトバンク)、ウラディミール・バレンティン(元ヤクルト、ソフトバンク)。

「日本の野球に順応できた選手の代表格ですね。彼らの特徴は、引っ張るだけではなく、広角に打てること。日本の野球の経験が増えるごとに、自分の攻められ方、相手のキャッチャーとピッチャーの特徴を常に頭に入れてバッターボックスに入ってきた選手たちです。なおかつ、それが結果として現れた」

「ハンシンファンワ、イチバンヤァー!」とヒーローインタビューで甲子園を沸かせたオマリーは、1991年に来日し、阪神とヤクルトで計6年間プレーした。1992年から4年続けて最高出塁率を記録、1993年に打率.329で首位打者に輝き、通算打率.315を残している。

「バットコントロールがうまくて、ストライクゾーンのなかならどのコースでも芯に当ててくるようなイメージがすごく強かったですね。実際、そういうバッティングが多かった」

 手強い外国人スラッガーを打席に迎えた際、谷繁氏が考えたのは、いかにして詰まらせるか、あるいはタイミングをずらしてゴロを引っかけさせるか、ということだった。特にオマリーにはその傾向が強かったという。

「引っかけさせてセカンドゴロか、ショートゴロを打たせる。だから、基本は低めの曲がり球です。右ピッチャーならシュートやフォーク、左ピッチャーだったら外に逃げるスライダー。手を出させながら、凡打に打ち取りたい。でも、打率3割を超えるバッターは、ボール球にはなかなか手を出してくれないんですよ」

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